2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年10月18日

 同法は、台湾に防衛兵器を提供し、台湾の安全を脅かす強制に対抗する米国の能力を維持することを米国に約束させている。しかし、トランプは最近、「我々は保険会社と何ら変わらず、台湾は我々に何もしてくれない」ので、台湾は米国に防衛費を払うべきだと述べた。頼政権は来年度の国防費を7.7%増の6470億台湾ドル(約200億米ドル) にすることを提案した。

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警鐘を鳴らす台湾

 本年5月の台湾新政権発足後も、中台間の没交渉状態は継続し、中国は軍事力を含め、様々な分野で台湾に対し圧力を強化しつつある。同時に、中国からの訪台旅行の一部は再開するなど、従来通り、中国は硬軟織り交ぜた台湾への対応を行っている。

 さらに、今年6月には、中国は「頑迷な「台湾独立」分子による国家分裂・扇動の犯罪に対する意見」(いわゆる台湾独立処罰22条意見)を公表し、「台湾独立分子」が国家や国民に対して特に深刻な危害を加えた場合には死刑を適用すると明記した。

 上述の記事は、最近の台湾の顧立雄・国防部長(国防大臣)の言葉を引用し、「中共軍の台湾侵攻への動きはその前兆をとらえることが、ますます困難になりつつある」として、予測不能なくらいの突然の中共軍の動きに備えなければならない、と述べている。顧氏は「中国の軍事行動の規模はますます大きくなっており、訓練から大規模な演習へ、演習から戦争へと移行するタイミングを見極めることが難しくなっている」と述べている。

 さらに、頼清徳総統自身、今年5月には中共軍の訓練や演習のレベルがこれまでにないレベルに達しつつあると警鐘をならした、という。

 今月に入ってから、中共軍は台湾対岸の中国大陸の一部で、陸海空連携の水陸両用の訓練を行ったというが、全体として、中共軍機が台湾海峡の防衛識別ラインを越えて台湾の周辺海空域に侵入した回数は今年に入ってからだけでも2076回に及ぶとされている。また、本年9月にはいってから、中国の空母打撃群が台湾の北端付近の海域を通過し、日本の接続水域に侵入したという。


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