アメリカのジョー・バイデン大統領は25日、米政府が1970年代まで150年以上にわたり行った、先住民の子供たちを白人文化に同化させるための寄宿学校政策は「我々の魂の罪」だとし、ネイティブアメリカン・コミュニティーに正式に謝罪した。
バイデン大統領は「アメリカの歴史における汚点」を謝罪することは、自分が大統領として行う最も重要なことの一つだと述べた。
連邦政府は1819年から1970年代にかけて、アメリカン先住民の寄宿学校を設置し、子供たちを家や家族から強制的に引き離した。
今年の大統領選が11月5日に迫る中、バイデン氏は激戦州アリゾナでの選挙イベントで謝罪した。これは複数のアメリカ先住民族への支持を示す機会にもなった。2020年大統領選でバイデン氏は、アリゾナ州でわずか約1万票差でドナルド・トランプ候補に勝利した。
バイデン氏はこの日、同州フィーニックス郊外で先住民族が管理するギラ・クロッシング・コミュニティー・スクールを訪問。「私たちがしたことについて、合衆国大統領として正式に謝罪する」と述べた。「もっと早くこうすべきだった」。
バイデン政権はアメリカ先住民を支援するためこれまでに数十億ドルを投じてきたと説明する。しかし、影響を受けたコミュニティーからは大統領にはもっとやれることがあるとの声が上がっている。
米政府がかつて設置していた寄宿学校は、先住民の子供たちから伝承を奪い、アラスカ先住民やアメリカ先住民、ハワイ先住民の子供たちを、アメリカの白人文化に同化させようとするものだった。
アメリカ全土には19世紀から20世紀にかけて523以上の政府出資の寄宿学校があった。これらの学校の多くは教会によって運営されていた。
何万人もの子供たちが政府によって強制的に連れ去られ、家から遠く離れた学校に送られた。先住民の子供たちは自分たちの言語を話すと殴られたり、食事を与えられないなど、精神的・肉体的虐待を受けることがよくあった。死亡するケースもあった。
米内務省はバイデン政権下で、寄宿学校制度の歴史に対処するため、連邦政府による初の調査を開始した。
デブラ・ハーランド内務長官は、アメリカ先住民として初めて閣僚になった。昨年には同化政策を生き延びた先住民サバイバーと話をするために視察を行った。
内務省は、サバイバーの経験を記録する口述歴史記録プロジェクトを立ち上げている。
同様の政策を取っていたカナダでは2008年にスティーヴン・ハーパー首相が、先住民の子供約15万人を政府出資のキリスト教系寄宿舎に強制的に通わせたことを謝罪した。
カナダ政府はまた、同国の寄宿学校制度の歴史を記録する真実・和解委員会を立ち上げた。
(英語記事 Biden apologises for Indian boarding schools 'blot on history')