昨年4月以来、国軍と準軍事組織「迅速支援部隊(RSF)」による内戦が続いているスーダンで、飢餓の悪化と急性栄養失調の急増を特徴とする「飢きん危機の拡大」が起きていると、食料安全保障の専門家からなる独立委員会が24日、発表した。
専門家たちによると、スーダンでの飢餓は5地域に広がっており、人口の約半数にあたる2460万人が緊急に食料援助を必要としている。
こうした危機的状況は、昨年4月から20カ月にわたり続く内戦が引き起こした。
国軍とRSFの対立を終結させるためのさまざまな仲介努力は、今のところ失敗に終わっている。
スーダンでは2021年10月、軍トップのアブドゥル・ファッターハ・ブルハーン将軍がクーデターを起こした。クーデター後に主権評議会(暫定政権)の議長となったブルハーン将軍に従う陸軍部隊と、副議長のモハメド・ハムダン・ダガロ司令官に従うRSFが対立し、内戦が勃発した。
民政移管のプロセスをめぐる協議では、RSFを国軍へ統合する時期について両者が折り合わず、緊張が高まっていた。
内戦は世界最悪の人道危機の一つへと発展した。国連が支援する「飢きん調査委員会」(FRC)は、紛争が終結しなければ「より深刻な大惨事」が起きかねないと警告している。
飢きんが拡大
今回の報告書は、国連機関や援助団体、各国政府による、飢きん状況を特定するための世界的イニシアチブ「総合的食料安全保障レベル分類(IPC)」に関連する独立委員会が発表した。
ロイター通信によると、スーダンの軍将軍らで構成する暫定政権は、IPCが「スーダンの主権と尊厳を損なう、信頼できない報告書」を出したと非難。IPCとの協力を停止すると発表した。
IPCは8月、西部ダルフール州のザムザム避難民キャンプで、飢きんが発生していることを初めて確認した。同キャンプには約50万人が身を寄せている。
FRCは最新の報告書で、RSFが包囲するダルフール州の都市エルファシャーにあるアブ・シューク避難民キャンプとアル・サラム避難民キャンプ、そして南コルドファン州の2地域にも、飢きんが拡大していると指摘した。
「飢きんは、人間の苦しみが最も極端なかたちで現れたものであり、生存に不可欠なシステムと資源の壊滅的な崩壊を意味する」と、FRCは述べた。
そして、「これは単なる食料不足ではなく、健康や生活、社会構造の深刻な破綻であり、コミュニティー全体が絶望的な状態に陥ることになる」と付け加えた。
FRCは、来年5月までにダルフール州で、さらに5地域が飢きんに直面する可能性があり、それ以外の17地域にも広がる恐れがあると予測している。
「紛争が激化している地域では、敵対行為によって農業活動が著しく阻害されている。その結果、農家は作物を放棄せざるを得ず、略奪や、在庫の破壊が起きている」
ダルフール州と南コルドファン州は、最悪の暴力行為に見舞われている。多数の民間人が武装集団によって殺害、レイプ、拉致されるなどしている。
アメリカのスーダン担当特使、トム・ペリエロ氏は5月、スーダン各地の紛争で15万人が死亡したとの推計もあると述べている。