前向きに読み解く経済の裏側

2018年8月13日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

経済評論家

1981年 東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の業務に従事。2005年 銀行を退職して久留米大学へ。現職は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は一個人として行うものであるため、肩書きは「経済評論家」とする。

市場が暴走すると、正しい値段以下でも大量の売りが出るかも

 高金利通貨が怖いのは、一度暴落を始めると、暴落がさらなる暴落を招くメカニズムが働き、止まらなくなる可能性があることです。「正しい値段」を大幅に下回っていても売りが売りを呼び、暴落を続けるのです。

 ちなみに「正しい値段」とは、「ファンダメンタルズを反映したレート」などとも呼ばれるもので、「経済の実態から判断して、「あるべき値段」といった意味です。これは、厳密には計算できませんが、何となく人々がイメージしている値段のことです。

 市場が暴落している時は、米ドル(またはユーロ、円などの先進国通貨。以下同様)を借りてxドルを買っている投資家は損失を抱えているはずです。そうなると、銀行が不安になって返済を要求してくるので、投資家は「暴落して正しい値段より安くなったので、xドルを買い増したいのに、銀行への返済のために売らなければ」といって泣く泣く売り注文を出すかもしれません。

 機関投資家の中には「損切り」というルールを定めている所が少なくありません。「一定以上の損を出した担当者は、持っている物を全部売って(ポジションを閉じて、という場合もあります)休暇をとって頭を冷やせ」というルールです。損失が際限なく膨らんでしまうリスクを避けるという目的と、担当者が頭に血が上って間違った判断をしてしまうというリスクを避けるため目的だ、と言われています。

 これは、担当者にとって辛いですね。「xドルが暴落して正しい値段より安くなったので、買い増したいのに、ルールだから売らなければ」といって泣く泣く売り注文を出すわけですね。

 米ドルを借りてxドルに替えて使っているx国企業は、苦しくなります。米ドルをxドルに替えた時にはわずかなxドルしか受け取っていないのに、返済する際には巨額のxドルが必要だからです。そうなると、x国企業に米ドルを貸している外国の銀行は、x国企業が米ドルを返済できなくなるリスクを気にして、返済を要請するでしょう。そうなると、x国企業が米ドルを買うので、x国通貨は一層安くなるでしょう。

 さらには、投機家たちが上記を予想して「売りたくないのにxドルの売り注文を出さされる人が出てくるだろう。今のうちに売っておこう」と考えて売り注文を出すかもしれません。

 こうしたことの相乗効果でxドルはどこまでも下落を続ける可能性があるのです。

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