2022年8月17日(水)

前向きに読み解く経済の裏側

2018年8月14日

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塚崎公義 (つかさき きみよし)

経済評論家

1981年 東京大学法学部卒、日本興業銀行(現みずほ銀行)入行。主に経済調査関連の業務に従事。2005年 銀行を退職して久留米大学へ。現職は久留米大学商学部教授であるが、当サイトへの寄稿は一個人として行うものであるため、肩書きは「経済評論家」とする。

通貨が暴落を続けて実体経済が通貨に追いつくリスクも大

 外国の投資家がxドルを安くしか売れずに損をするのはx国の痛手にはなりませんが、x国の企業が外国から米ドルを借りていたら大変です。米ドルを借りてxドルに替えた時には少額のxドルしか受け取っていないのに、外国の銀行に返済する際には巨額のxドルが必要となるからです。

 最初に返済した借り手はまだ良いとして、最初に返済した借り手が米ドルを購入したことで、ドルが値上がりするので、次に返済する借り手の返済負担は重くなります。そうなると、「早く返さないと倒産してしまう」ということになります。

 借りている企業は早く返そうとしますし、貸している海外の銀行も早く返してもらおうとします。そうなると、皆が一斉に米ドル買いに走るので、xドルは一層暴落し、皆が米ドル建の借金を返済できずに倒産するかもしれません。

 米ドル建ではなく、xドル建で借金をしている企業にとっても、事態は深刻です。上記のように中央銀行が金利を引き上げると思われるからです。

 そうなると、米ドル建で借りている企業もxドル建で借りている企業も倒産することになり、極端な場合、国内の工場がすべて止まってしまうかもしれません。そうなると、外国の消費者が「x国の製品は安く買えるだろう」と考えて買いに来ても、「倒産したので生産ラインが止まっていて、売れるものがありません」と言われてしまいます。

 国内の多くの企業が倒産すれば、失業率が猛烈に高まって国内の治安は悪化し、富裕層や知識層は国外に逃げ出すかもしれません。もちろん持っている資産はすべて米ドルに交換してから、ですが。

 そうなれば、国内の産業は壊滅し、経済状態が極度に悪化し、「暴落した通貨の価値に経済の状態が追いついてしまった」と言ったことにもなりかねません。そうなれば、為替レートは暴落したまま戻りません。戻ることを期待して「塩漬け」した投資家、あるいは新たに購入した投資家には辛いことでしょうが。

 もちろん、こうした事態を回避するため、政府が戒厳令などの強権発動をするかもしれませんが、そうなれば海外の投資家は誰もxドルを買わないでしょうから、大暴落でしょうね。

 政府が先進国やIMFに助けを求める可能性はありますが、そうなると当然に政府の権限は先進国やIMFなどに大幅に制限されることになります。それを政府が受け入れるか否かは、政府の性格にもよりますので、x国の具体的な対応については何とも言えません。

  
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