2024年4月26日(金)

J-POWER(電源開発)

2020年1月20日

PR
 

 

 

 

 

風力先進国の英国では昨年7月から9月の再エネによる発電量が、初めて化石燃料のそれを上回ったとする報道が流れた。再エネ主力電源化を目指す日本が学ぶべきことはあるか。エネルギーでSDGsに向き合うJパワーのプロジェクトを追う。

再エネの次代を拓く
洋上風力のポテンシャル

 
 

 再生可能エネルギーの主力は「風力」が担う。それが世界の潮流だ。その先頭を走る欧州では、すでに風力が石炭火力を抜いて発電設備容量で2位の位置にあり、2027年には最大の電源になるとの観測もある。

 特に存在感を強めているのが洋上風力だ。その発電量は欧州が世界の約9割を占め、導入量は年100万~300万kWの勢いで増加中。2018年には累計1800万kWに達し、5年間で約3倍にも増えた。

 洋上風力は一般に、陸上に比べて安定した風が得られ、立地や資機材輸送の制約も少ないため大型設備が導入しやすいなどの利点がある。欧州では、数十kmの沖まで遠浅の海が広がる北海などの適地に恵まれるうえ、市場拡大に向けた政策と設備の大型化、それに伴うコスト低減などが相まって一挙に導入が加速した。

 こうした欧州の知見に学ぼうと、日本の電力業界も動きだしている。風力・水力の発電量で国内2位のJパワー(電源開発)は、英国で進むトライトン・ノール洋上風力発電所の建設計画に参画。北海沿岸の沖合に巨大風車90基を並べ、合計出力86万kWで英国家庭80万世帯分の電力を賄う一大プロジェクトだ。日本の電力会社として、海外の大規模洋上風力に携わるのはこれが初めて。事業を主導するのは洋上風力で世界3位の独イノジー社の英国現地法人だが、Jパワーは一昨年、その株式25%を取得し、現地に技術者を派遣。2021年の運転開始に向けて、洋上風力の建設・保守・運転に関する最先端のノウハウ獲得を目指す。

 その一方、Jパワーは北九州市沖の響灘で公募された大規模洋上風力の実証事業にも参加。国主導の事業が大勢を占めるなか、企業連合の一員として商業化への道を探る。加えて、長崎県西海市沖では昨年、住友商事と共同で海底地盤調査を実施。また、Jパワーは北海道檜山エリア沖でも測量調査を行ったほか、福井県あわら市沖で環境影響評価手続きを始めており、陸上風力の適地が減りゆくなか、海洋国家の強みを生かす取り組みに拍車がかかる。

リパワリングでまだ拡がる
水力エネルギーの可能性

御母衣ダム湖のそばに立つ荘川桜(岐阜県)

 「再エネの主力電源化」を目指す政府は2030年までに風力全体で1000万kW導入達成を見込むが、全電源におけるその比率は1.7%程度であり、日本の再エネは当面、同約9%を占める水力が支えていく。水力発電は電力需要の変動に素早く対応できる強みがあり、時間帯や季節によって増減する需給バランスの調整に欠かせない存在なのだ。

 そこで重要になるのが水力のパフォーマンス維持向上だが、戦後の旺盛な電力需要を支えるために生まれた大規模水力発電所はすでに全国で整備され、新たな開発には多くを望めないのが実状だ。ならば、高経年化した水力発電設備に最新技術を導入して刷新し、発電効率と設備の信頼性を高めることで少しでも水力エネルギーの活用につなげたい。その思いで高経年化設備の更新・出力増強(リパワリング)を進めることが、目下のJパワーの使命である。

 同時に、「中小水力」の有効活用にも力を入れる。規模は小さくても実は利用価値のある水力資源はまだ各地にある。北海道のくったり発電所では、河川保全のため屈足ダムから放流される未利用の水を使った発電で、地域社会に470kWの新たな電力の供給を実現させた。

 風の力、水の力。自然の力をエネルギーに換える営みには、地域と共に生きる姿勢が欠かせない。「環境との調和をはかり、地域の信頼に生きる」を企業理念とするJパワーは地域共生活動にも力を入れるが、その思いはおよそ60年前にまで遡る。岐阜県にある「荘川桜」と名付けられた2本の老桜。かつて御母衣ダム建設に伴い湖底に沈むはずだったが、Jパワー初代総裁の決断により湖畔に移され、今も花を咲かせている。Jパワーの発電事業には、この地域共生のDNAが受け継がれている。

 

再生可能エネルギー
J-POWERの取り組み

 J-POWER(電源開発株式会社)は1952年、戦後の電力不足解消を目的に発足した。現在、国内約100カ所にさまざまな発電所と亘長約2400kmの送電線を保有。水力発電と風力発電はともに国内第2 位の設備出力を持つ。2018年6月に再生可能エネルギー本部を新設。2025年度までに再生可能エネルギーの新規開発100万kW 規模(2017年度比で水力 3億kWh/年増、風力 25億kWh/年増)を目標に、設備更新や新規地点開発などの取り組みを強化している。

J-POWERグループの再エネ発電設備(国内)

84ヶ所 約904万kW

 

●水力発電所 61カ所 857.5万kW
●風力発電所 22カ所 43.9万kW
●地熱発電所 1カ所 2.3万kW
(2019年6月末現在 持分出力ベース)

陸上風力プロジェクトも進展中

建設中のにかほ第二風力発電所

 J-POWERは国内陸上風力の新規開発にも力を注ぐ。今年度内に運開予定のせたな大里ウインドファーム(北海道)、にかほ第二風力発電所(秋田県)をはじめ、建設中4件、新規建設や設備更新の計画は10 件を数える。