BBC News

2020年10月2日

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毒物による重篤な症状に見舞われたロシアの野党指導者アレクセイ・ナワリヌイ氏(44)が、1日発売のドイツ誌のインタビューで、ウラジーミル・プーチン大統領の指示で毒を盛られたとの考えを語った。

ナワリヌイ氏は、「今回の行為の背後にはプーチンがいると断言する。それ以外の説明は考えられない」とドイツ誌シュピーゲルのインタビューで述べた。

ナワリヌイ氏は8月20日、ロシア・シベリア地方を飛び立った旅客機内で体調が悪化。当初はロシアの病院に運び込まれたが、2日後にドイツ・ベルリンのシャリテ病院に移送され治療を受けた。先週退院したが、現在もドイツで理学療法による治療を受けている。

ドイツでの検査の結果、神経剤ノビチョクの影響で体調が急変したとされた。この検査結果は、フランスとスウェーデンの研究機関も承認している。

ロシア政府は一切の関与を否定している。

プーチン大統領の報道官は1日、ナワリヌイ氏に神経剤が使われた証拠はないと説明。同氏は米中央情報局(CIA)職員と協力関係にあると述べた。

BBCのサラ・レインズフォード・モスクワ特派員は、ナワリヌイ氏の信用を徹底的に低下させるための、ロシア政府による新たな主張だとしている。

「不審死とされるところだった」

体調が悪化してから初めてとなるインタビューでナワリヌイ氏は、ノビチョクの使用はロシアの3つの情報機関のトップからしか指示が出ないとし、その全員がプーチン大統領の部下だとした。

その上で、「もし(化学)物質にアクセスできる人が3人ではなく30人だとしたら、世界的な脅威だ」と述べた。

ナワリヌイ氏の支持者らは当初、同氏がロシア・トムスク空港で飲んだ茶に毒物が混入されたとみていた。しかしその後、飛行機に搭乗する前夜に宿泊したホテルにあった飲料水のボトルから、ノビチョクの痕跡が見つかっている。

今回の経験についてナワリヌイ氏は、「痛みはないが、死ぬのだとわかっている。あっという間にだ」と振り返った。

救急救命治療を受けて助かったのは、「幸運な状況が重なった」ためだとした。そして、この幸運がなければ、「ただの不審死となるところだった」と話した。

帰国の意思を表明

なぜプーチン大統領に標的にされていると思うのかとの質問には、ロシア極東ハバロフスクにおける最近の政情不安を指摘した。

「ロシア政府は、『ベラルーシ状態』を防ぐためには過激な手段を取らざるを得ないと気づいている」

「体制側は生き残りに必死で、私たちはその影響を感じている」

ナワリヌイ氏の広報担当は先週、同氏の銀行口座が凍結され、アパートの部屋も差し押さえられたと述べた。

それでもナワリヌイ氏は、ロシアに帰国する計画をシュピーゲルに明らかにした。

「帰国しなければプーチンが目的を達したことになる。(中略)ロシアに戻らないという贈り物をプーチンに渡すつもりはない」

ロシアとノビチョク

ロシアに対しては、欧州連合(EU)加盟国など多くの国が、ナワリヌイ氏と毒物に関して調査をするよう求めている。

ノビチョクは、元ロシア情報員セルゲイ・スクリパリ氏とその娘が、2018年にイギリス・ソールズベリーで襲われた事件で使われた。スクリパリ親子は助かったが、イギリス人女性が後に病院で死亡した。

英政府は、ロシア軍情報当局が襲撃したと非難した。20カ国がロシアの外交官やスパイ計100人以上を追放した。ロシア政府は関与を否定している。

(英語記事 Kremlin critic Navalny blames Putin for poisoning

提供元:https://www.bbc.com/japanese/54382471

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