2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年8月16日

 信頼醸成措置と包括的解決策を組み合わせることも考えられる。双方がロード・マップに合意し、段階的にそれを実施して行けば良い。最終的にどういう核計画が認められるのか、その概要に合意しておけばよい。

 イランは、「P5+1」に、濃縮の権利を直ちに認めるように求めてきた。しかし米国はそれを拒否してきた。NPT(核不拡散条約)は、それを遵守する加盟国に核の平和利用の権利を認めているが、それが濃縮の権利を含むか、はっきりしない。ただイランが濃縮の権利を一時的に失っていることは確実で、累次の国連決議で濃縮は禁じられている。この権利について議論するよりも、イランも「P5+1」も、イランの濃縮活動が平和利用に限られていることを確認するような実際的措置に合意したらよい。兵器生産のために濃縮が行われないように、イランの濃縮能力に制限を設け、監視措置を設定することが考えられる。

 これは「P5+1」にとり、イランの濃縮活動が受け入れられる条件を話し合うことであり、今まで「P5+1」が避けてきたことである。イランにとっては、制約なしの濃縮ではなく、兵器への突破ができない規制された濃縮を受け入れることを意味する。

 オバマ政権は議会と協議し、どういう制裁をどういう条件で何時解除するかを決め、かつ全ての一方的な制裁や国連安保理制裁を、最終的には解除する用意を示すべきである。また、米国がイランのレジーム・チェンジを狙っていないことを公にすべきである。米国としてイランの人権状況などに不満はあるが、核問題はそれらと切り離して取り扱うべきである。

 イランの核開発は前進しており、外交に残された時間は無制限ではない。チャンスがあるのなら、秋にも再開される交渉のために準備すべきである、と論じています。

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 アインホーンは不拡散・核軍縮について専門的な知識を持った人で、対イラン核交渉のやり方についてオバマ政権内部でアドバイスをしてきました。

 彼がここで提案していることには、賛成できます。


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