2024年6月16日(日)

BBC News

2024年5月22日

米オープンAIはこのほど、生成AI(人工知能)のチャットGPTから、ハリウッド俳優のスカーレット・ジョハンソン氏に似ていると指摘された音声を削除すると発表した。

オープンAIは先に、チャットGPTの新しい読み上げ機能「スカイ」を発表。しかしユーザーから、読み上げ音声がジョハンソン氏の声に似ているとの指摘があった。

新機能では、チャットボットが時に気を引くような会話を繰り広げるが、その声がSF映画「her/世界でひとつの彼女」に出演したジョハンソン氏のものに似ているとされる。

オープンAIは、チャットGPT内で使われている音声は、「プロの声優やタレント事務所、キャスティング・ディレクター、業界アドバイザーなどの協力の下、5カ月に及ぶ大規模な手続きを経て慎重に選ばれた」としている。

2013年に公開された「her」では近未来が描かれ、ホアキン・フィーニックス氏演じる主人公の男性が、携帯電話のAI内臓オペレーティングシステム(OS)に恋をする。ジョハンソン氏は、このAIに声を当てた。

同作のスパイク・ジョーンズ監督は当時、この作品は「技術やソフトウエア」ではなく、愛や深い関係についての物語だと語っていた。

昨年11月には、AIアプリが無断で似姿を広告に使用したとして、ジョハンソン氏が法的措置をとったと報じられていた。

オープンAIは20日、「スカイ」の音声はジョハンソン氏を「模倣」しようと意図されたものではないと述べた。

同社はブログの投稿で、「AIの声は、有名人の特徴的な声を意図的に模倣すべきではないと考えている」と述べた。

またX(旧ツイッター)で、この音声がどのようにして選ばれたのかを解明する間、音声を「一時停止するよう取り組んでいる」と説明した。

しかし、今月13日にオープンAIがチャットGPTの新モデル「GPT-4o」を披露した際、サム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は「her」に言及していた。

より人間に近い会話能力のデモンストレーションで、チャットボットはオープンAIのスタッフに、「ワオ、その服はなかなかだね」と言った。

また、褒められると「やめて、照れちゃう」とも言った。

しかし、インターネット上で拡散されたチャットGPTに関するミームや投稿では、「her」の主人公の画像が使われたほか、この音声に対する批判的な意見もあった。

Xではあるユーザーが、「本当に『男性によって書かれた女性キャラクター』といった雰囲気だ」と指摘した。

「なぜ彼女はこんなに卑屈で軽薄なのか?」という意見もあった。

オープンAIはブログの中で、チャットボットが使用する五つの音声は、提携した声優からサンプリングしたものだと述べている。

また、人格作成において目標とした特徴は、複数言語を話すことができ、「親しみやすい」か「カリスマ的」で、「時代に左右されないと感じさせる」声であることだとしている。

そのうえで、最終選考に残った俳優と、AIを使った人間とのやりとりのビジョンや、テクノロジーの能力や限界、リスクについて個別に話し合い、最終的な音声を決定したと説明した。

13日のイベントで披露された高度な音声機能は、ユーザーにはまだ提供されていない。

オープンAIは、より迅速な応答と新機能への優先的なアクセスを希望する有料会員には、今後数週間のうちにこの機能が提供される予定だとしている。

(※編集部注――日本では「スカーレット・ヨハンソン」、「ホアキン・フェニックス」と表記されることの多い両氏の名前について、この記事では本人や関係者の発音に近い表記をしています)

(英語記事 ChatGPT to lose voice over Johansson similarity

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c3ggn1kjvjvo


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