イスラエル軍は24日、パレスチナのガザ地区南部で8月にイスラエル人人質6人の遺体が見つかった件について、同軍の地上活動が、イスラム組織ハマスによる人質殺害に影響を与えた可能性が高いとする調査報告を公表した。
調査報告は、イスラエル軍の「(ガザでの)地上活動は段階的かつ慎重なものだったが、人質6人を殺害するというテロリストの決定に、状況的な影響を及ぼした」としている。
また、ガザ南部ラファで作戦を開始した際、兵士たちは人質の存在に気づいていなかったことも明らかにした。人質の遺体は後に収容された。
この出来事を受け、イスラエル国内では怒りの声が噴出。数十万人が街中で、政府に停戦合意の実現を求めた。
人質解放は「合意でのみ実現可能」と家族ら
イスラエル軍は8月下旬、ラファのタル・アル・スルタン地区の地下坑道で、人質6人の遺体を発見した。軍によると、6人は兵士が到着する直前に殺害されたという。
今回の調査報告で、イスラエル軍の参謀総長は、「ハマスによって人質6人が残忍に殺害されるという極めて困難な結果を伴う、痛ましく悲劇的な出来事だったと結論付けた」とした。
被害者家族の団体「人質・行方不明者家族フォーラム」は声明で、昨年10月7日のイスラエル襲撃でハマスに連れ去られた人質全員の帰還は、合意によってのみ実現可能であることが、この調査で改めて証明されたと述べた。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相率いるイスラエル政府は、確実に人質を解放するために十分な努力をしていないと批判されるなど、さらなる批判に直面している。
イスラエルは昨年10月の襲撃を受け、ハマスに対する空爆や、ガザでの地上攻撃を開始した。
ハマス運営のガザ保健省は、イスラエルとハマスの1年2カ月におよぶ戦闘で、4万5000人以上のパレスチナ人がガザで殺害されたとしている。国連によると、ガザ人口の9割にあたる約200万人が家を追われている。
国連や援助機関は、ガザは「黙示録的な」人道状況に置かれており、ガザ市民が「飢きんの瀬戸際」にあると繰り返し警告している。また、イスラエルがガザへの援助物資の搬入を意図的に妨害しているとも非難している。イスラエルはそうした事実はないとしている。
イスラエルによると、昨年10月の襲撃で、251人のイスラエル人と外国人がハマスに拘束された。
解放や救出されたり、遺体で収容されたりした人質もいるが、今も96人がガザに残されたままとみられる。このうち62人は生存していると考えられている。このほか、2014年と2015年から拘束されている人質が4人いる。
イスラエルとハマスの間では、停戦と人質解放に関する合意に向けた間接的な交渉が続けられている。
ネタニヤフ首相は最近、ハマスとの交渉で「いくらか進展があった」としつつ、交渉がいつまとまるかは断言できないと述べた。パレスチナの当局者はBBCに対し、合意まであと少しだと語ったが、今のところ突破口は見つかっていない。
(英語記事 Israel probe says army actions had 'influence' on killing of six hostages by Hamas)