シリア暫定政府の当局は25日、内務省の治安部隊員14人が殺害され、10人が負傷したと発表した。政権の座を追われたバッシャール・アル・アサド前大統領に忠実な勢力の「待ち伏せ攻撃」を受け、戦闘になったとしている。
暫定政府によると、この戦闘は24日、地中海沿岸のタルトゥース港付近で発生した。
治安部隊は、首都ダマスカス近郊のサイドナヤ刑務所での役割に関連し、元将校を逮捕しようとした際に待ち伏せ攻撃にあったという。
アサド政権は今月8日、イスラム主義勢力「ハヤト・タハリール・アル・シャーム(HTS、「シャーム解放機構」の意味)」が率いる反体制派に攻め込まれ、崩壊した。
イギリスに拠点を置くシリア人権監視団(SOHR)は、24日の衝突ではアサド氏を支持する勢力でも3人が死亡したと発表した。
また、暫定政府の治安部隊が後に増援の隊員を送り込んだと付け加えた。
中部ホムスで夜間外出禁止令
これとは別にシリアの国営メディアは、当局が中部ホムスで夜間外出禁止令を発令したと伝えた。
ホムスでは先に、アサド政権を支えていたアラウィ派の聖地への攻撃を映したとされる動画が浮上。報道によると、夜間外出禁止令はこれによる騒動を受けた措置だという。
シリア内務省は、この動画は11月下旬のアレッポでの反政府勢力の攻勢までさかのぼる古いものであり、暴力行為を行った組織は不明だとしている。
SOHRは、ホムスでデモ参加者1人が死亡し、5人が負傷したと報告している。
また、タルトゥースやラタキア、アサド前大統領の故郷であるカルダハを含む地域でもデモが報告されている。
少数派のアラウィ派は、アサド家など旧政権の政治・軍事エリートの多くが属していた。
アサド家による50年以上にわたった支配は、シリア北西部から全国へと広がったHTS主導の電撃攻勢によって終わった。
HTSは、新たな政権でシリアの多くの宗教的・民族的少数派の権利と自由を保護することを約束している。
一方でHTSはなお、国連やアメリカ、欧州連合(EU)、イギリスなどによってテロ組織に指定されている。
24日には、シリア中部のキリスト教徒が多数派の町スカイラビヤで、クリスマスツリーが燃やされる事件があり、抗議デモが起こった。参加者らは、イスラム教主義の新政権に対し、少数派保護の措置を求めた。
一方、政権を倒した旧反体制派の武装各組織は、解散して国防省の下に統合されることで合意したと報じられている。
(英語記事 Syria says 14 security personnel killed in 'ambush' by Assad loyalists)