2024年12月27日(金)

WEDGE SPECIAL OPINION

2024年12月26日

 米国のトランプ次期大統領は、第一次政権時に国防次官補代理を務めていたエルブリッジ・コルビー氏を国防次官(政策担当)に起用すると発表した。コルビー氏はかねてから中国の軍事的台頭に警鐘を鳴らし、抑止のために米国の資源をアジアへの対応に優先すべきだと訴えてきた。日本が防衛費を国内総生産(GDP)比で3%支払うべきだとも主張している。
 対中強硬と日本の防衛費増額を求める真意とは何なのか。コルビー氏はWedge2022年11月号で、日本のとるべき道を語っている。国際秩序が揺らぐ今、日米同盟はかつてないほど重要な意義を持つ。
 今回は、次期トランプ政権に備えるために、記事を全文公開いたします。
トランプ次期大統領が国防次官に指名したエルブリッジ・コルビー氏(dvids)

 日本は目を覚ます必要がある。目をこすりながら徐々にではなく、即座にベッドから飛び起きなければならない。日本の防衛は今の時代にとって、嘆かわしく危険なほど不十分だというのが紛れもない事実だ。この状況を変える必要がある。しかも直ちに、だ。

 「吉田ドクトリン」(吉田茂元首相が打ち出した経済重視・軽武装の考え方)の世界、日本が事実上、自国の防衛を米国にアウトソーシングしていた世界は、今や遠い過去の話だ。あの世界は、中国が近隣の台湾のみならず、日本自体にとっても恐ろしい脅威を突き付ける世界になっているのだ。

 中国人民解放軍はもはや、ただ台湾問題を解決するためだけの軍隊ではない。明らかに戦力投射型の軍隊になりつつあり、空母や宇宙衛星、航続距離の長い潜水艦、爆撃機をふんだんに備えている。これは効果的な反撃能力で応じない限り、西太平洋全体、さらにはもっと遠い先まで圧倒的な戦力を投射できるようになる軍隊だ。

 間違ってはならない。日本はほぼ確実に北京の視野に入っている。たとえ中国政府が台湾を制圧したいだけだったとしても、地域内で日米の部隊を攻撃することは十分考えられる。


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