韓国の野党議員らは26日、韓悳洙(ハン・ドクス)首相に対する弾劾訴追案を国会に提出した。韓氏は尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が14日に国会で弾劾されたのを受け、大統領を代行している。
最大野党「共に民主党」が指名した憲法裁判所の裁判官の任命を韓氏が拒否したことから、野党側は弾劾訴追案を提出した。憲法裁は尹氏の弾劾の妥当性を審理しているが、裁判官3人が欠員となっている。
「共に民主党」の朴贊大(パク・チャンデ)院内代表は、「韓氏は大統領代行ではなく、暴徒代行であることが明らかになった」と述べた。
野党勢力は韓氏について、尹氏による今月3日の非常戒厳の宣布を手助けしたとも非難している。
韓氏に対する弾劾訴追案は、提出から72時間以内に採決される見通し。
国会の在籍議員300人の過半数(151人以上)が賛成すれば可決となる。「共に民主党」の所属議員は現在170人で、野党勢力は全体で192人いる。
可決されれば、崔相穆(チェ・サンモク)経済副首相兼企画財政相が大統領代行となる。
首相と野党、対立が深まる
野党勢力は、韓氏が自分たちの邪魔をせず、提出した法案をすんなり通過させると期待していた。
しかし、尹氏の戒厳令について特別調査を求める法案など、野党提出のいくつかの法案に、韓氏は拒否権を発動。強硬な姿勢を崩さず、野党側との政治対立は深まっている。
憲法裁の裁判官3人の任命については、韓氏は26日、与野党が人選で合意に達しない限り任命はしないと述べた。
これを受け、「共に民主党」の朴院内代表は、韓氏を「憲法を守る資格も意思もないことが明らかになった」と批判した。
一方、韓氏が所属する与党「国民の力」は、野党の脅迫が韓氏の「正当な権限行使」を妨害していると主張。首相官邸の高官も、野党の動きを「極めて遺憾だ」と批判した。
憲法裁は今週内に、尹氏の弾劾に関する最初の公判を開く予定。尹氏が証言するかは不明だ。
尹氏は内乱の疑いでも捜査を受けている。捜査当局は尹氏に何度か出頭を要請しているが、尹氏はすべて拒否している。当局は逮捕状を請求する可能性があると警告している。