イスラエル占領下のヨルダン川西岸地区にある小さな町ベツレヘムは、イエス・キリストが生まれた町とされ、「クリスマスの首都」とも言われる。
しかし、今年はそのようには感じられない。
パレスチナ・ガザ地区での戦争のため、クリスマスの公的な祝賀行事は、2年連続で中止された。
パレスチナのキリスト教徒は、宗教儀式や家族の集まりにのみ参加している。
ある教会では、幼いイエスの人形ががれきの山に飾られた。
またクリスマスの礼拝では、ガザの壊滅的な状況に強く思いを寄せる祈りがささげられた。
ガザでの戦争は、イスラム組織ハマスがイスラエル南部を攻撃し、同国がそれに報復したことで始まった。2023年10月7日のハマスの攻撃では約1200人が殺され、約250人が人質として連れ去られた。一方、ハマスが運営するガザの保健省は、この戦争でこれまでに4万5000人以上のパレスチナ人が殺されたと発表している。
戦争と並行し、ヨルダン川西岸地区でも緊張が高まっている。イスラエルはパレスチナ人の移動に新たな制限を課し、毎日エルサレムやユダヤ人入植地に通っていた労働者の許可証を数万件取り消した。
観光に大きく依存しているベツレヘムは、西岸地区の中でも特に、経済が深刻な状況にある。
ヨランド・ネル中東特派員が報告する。