2024年12月27日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年12月27日

 12月2日付けウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙は「台湾の頼清徳総統は、トランプ政権下での米国の支援継続への期待を表明」との記事を掲げ、外交関係のある南太平洋諸国歴訪の途上でハワイに立ち寄った頼総統の行動について論じている。要旨は以下の通り。

米国ハワイで、トム・レザーマン総監(右)に真珠湾記念館を案内される台湾の頼清徳総統(中央)と林嘉隆参謀総長(Liu Shu Fu/Taiwan Presidential/Planet Pix/ZUMA Press/アフロ)

 ハワイ訪問中に頼総統はトランプ政権下でもバイデン政権下と同様の支援を得られることへの期待を表明した。政治的に微妙なハワイ訪問の2日目に、頼はペロシ元下院議長を含む多くの米国政治家とオンライン会談しトランプ次期大統領が表明した台湾への批判に応えるようなスピーチをした。

 米国は台湾の強力な同盟国だが米台は公式な関係を持たずこの旅はデリケートだ。中国は一度も統治したことが無いのに台湾を自国の一部とし要すれば武力で統一すると約しているので米国の台湾支援は死活的に重要だ。中国はこの訪問を非難している。

 台湾はバイデンから強力な支援を受けてきたが、トランプはいくつかの理由で台湾を批判しており中国の敵対行動に彼がどう対応するかは不透明だ。トランプは公開の場で、台湾に中国の脅威から自衛するために防衛費を増やすよう求め、台湾の世界水準の半導体企業を米国の雇用を奪っていると批判した。

 非公開の英語スピーチで、頼は自国防衛強化の計画を示し非難に応えようとしているよう見えた。頼は、半導体産業での対米協力を深化すると約束した。総統就任以来一貫して米国と緊密な関係を維持するという前任者達の努力を継続している。

 米国は台湾と公式な安保条約を持たないが、米国内法は米政府に、中国の軍事的脅威からの自衛に必要な兵器を台湾に供与することを求めている。頼の台湾出発直前にバイデン政権は同政権中18回目の、F16戦闘機の部品と最新鋭レーダー、戦術的通信機器を含む台湾への武器供与を承認した。

 これを中国は批判した。12月2日、人民解放軍報道官は反対を繰り返し、中国は台湾の分離独立勢力を完全に殲滅すると述べ、米国の武器供与を悪名高いものと呼んだ。同報道官は、台湾は苦労して手に入れた金を米国に防衛代として払い台湾人の安全と幸福を犠牲にし、最終的には火に集まる蛾のように破滅に向け突き進んでいる、と述べた。

 1日のスピーチで頼は、台湾は米国の信頼できるパートナーだと述べ、半導体産業における米台協力を強調した。ハワイ訪問中に頼はペロシを含む民主共和両党の多数の重鎮と電話で話し、中国の軍事的脅威から半導体まで議論した。


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