2024年12月19日(木)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年12月19日

 2024年11月18日付のウォールストリート・ジャーナル紙は、トランプの大統領復帰に対する台湾の期待と不安を紹介し、頼清徳政権は第2期トランプ政権を概ねプラスに捉えているとの解説記事を掲げている。

米国との関係強化のためにグアムを訪問した台湾の頼清徳総統(Taiwan Presidential Office/AP/アフロ)

 ドナルド・トランプは、選挙中、中国による攻撃の脅威の高まりに対し防衛費を大幅に増やすよう台湾に迫り、台湾の半導体企業が米国の雇用を奪っていると非難した。また台湾の自治を維持する決意を嘲笑ったイーロン・マスクを側近にした。

 台湾の指導部は、トランプ当選のプラスの面を強調している。頼清徳総統は「米台間の長年のパートナーシップは地域の安定の柱であり続けるだろう」と述べた。

 米国は台湾の最も重要な支援者であり、台湾の自衛のために数十億ドルの武器を売却している。しかし、米国は法律で武器を提供する義務を負っているが、中国が侵略した場合に米軍が介入するかは「戦略的あいまいさ」を維持している。

 台湾の当局者は、1期目のトランプ政権で米国の武器売却と外交が新たな高みに達したこと、今回、より強固な対中防衛を推進してきた2人、マルコ・ルビオ上院議員を国務長官に起用し、マイケル・ワルツ下院議員を国家安全保障問題担当補佐官に起用することに、慰めを見出している。

 トランプは10月、中国が台湾に侵攻した場合、関税を課すか貿易を停止することで対応すると述べ、封鎖に対して軍事力を行使する必要はないと述べた。トランプは、台湾は米国に防衛費を支払うべきだとも述べている。トランプは、台湾は軍事費を国内総生産の少なくとも10%に引き上げるべきだと述べ、台湾を懸念させた。

 5月に就任した頼総統にとり、米国に気に入られ続けることは政治的生存にかかわる問題かもしれない。トランプ第2期政権の顔ぶれが見えてくると、台湾の卓栄泰・行政院長(首相)は、「新しい人が入ってくると新しいやり方が出てくる」、「技術、貿易その他の分野における協力を強化する方法を検討する」と述べた。


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