2024年8月29日(木)

BBC News

2024年8月29日

ハリー・プール、BBCスポーツ

パリ・パラリンピックが28日、開幕した。午後8時(日本時間29日午前3時)から華やかな開会式が催され、選手たちはパリを象徴するシャンゼリゼ通りをコンコルド広場まで行進した。

パリ・オリンピックと同じく、パラリンピックの開会式も初めてスタジアムの外で行われた。

選手らはパリの象徴である凱旋門を出発し、シャンゼリゼ通りをコンコルド広場に向かって行進。完璧な夏の夜空の下、同広場でメインセレモニーが開かれた。

主催者側は6万5000人が来場する見通しだとしていた。野外イベントにはチケットが必要だったが、その前のパレードは無料で見ることができた。

11日間にわたる競技は29日に始まる。夏のパラリンピックがフランスで開かれるのは初めて。

過去最多の168の国・地域などから約4400人の選手が、22のパラリンピック競技に参加。計549個の金メダルをかけて競い合う。

パリ2024大会組織委員会のトニー・エスタンゲ会長は、この日の開会式について、選手らによる「パラリンピック革命」の始まりを象徴していると宣言。

「みなさんを革命家にしているのは、周囲に『ノー』と言われてもやり続けてきたからだ」と述べた。

「今夜、みなさんは私たちの見方を変え、態度を変え、社会を変え、最終的にはすべての人に完全な居場所を与えるよう働きかけている」

「みなさんが私たちに覚えさせる感情は、みなさんには限界がないという、決して忘れ去られることのないメッセージを伝えることになる。さあ、みなさんに限界を設定するのをやめましょう」

パラリンピック「革命」が華々しく始まる

芸術監督のトマ・ジョリーさんは、開会式が「パラリンピック選手と、選手らが体現する価値を紹介するスペクタクル」になるとしていた。

パリ最大の広場のコンコルド広場を会場にしたことは、同市が障害者のインクルージョン(包摂)の問題を社会の中心に据えていることを象徴する意図があった。

オリンピックでは選手たちが豪雨の中でセーヌ川をボートで移動したが、パラリンピックの開会式では選手たちは黄金色の空の下でシャンゼリゼ通りを行進した。

開会式のオープニングでは、フランスの元パラリンピック水泳選手テオ・キュランさんが主役になった。パリ2024大会のマスコット「フリージュ」で装飾されたタクシーで選手たちを運んだ。フリージュはパラリンピックに合わせて義足をつけたものもあった。

一連の芸術的なショーでは、障害のあるパフォーマーらを起用。包摂的だとしながら偏見に満ちている世界の矛盾を主なテーマとし、包摂をめぐる社会の問題を浮き彫りにした。

選手らが入場する前には、フランス空軍のアクロバットチームが、フランス国旗色の青、白、赤の煙で空を彩った。コンコルド広場のメインステージでは、フランスの歌手クリスティーヌ・アンド・ザ・クイーンズさんが登場した。

イギリスのキア・スターマー首相も出席し、凱旋門に沈む夕日を背景に到着したイギリス選手団を迎えた。旗手はチームメートらの投票で選ばれた車いすテニスのルーシー・シュカー選手と、車いすバスケットボールのテリー・バイウォーター選手が務めた。シュカー選手は5回目、バイウォーター選手は7回目の出場。

開催国フランスの旗手は、スプリンターのナンテニン・ケイタ選手とパラトライアスロンのアレクシス・ハンキンカン選手が務めた。フランス選手団が最後に入場すると、盛大な拍手が沸き起こった。(※編集部追記=日本選手団の旗手は、陸上の石山大輝選手と競泳の西田杏選手が務めた)

大会組織委のエスタンゲ会長と国際パラリンピック委員会(IPC)のアンドリュー・パーソンズ会長のスピーチに続き、フランスのエマニュエル・マクロン大統領が大会の開幕を宣言した。

パーソンズ会長は「パリ2024パラリンピック大会は、障害のある人たちが最高のレベルで何を達成できるかを示すものだ」と強調。

「このような機会が2024年に、ほぼスポーツ界でしか存在しないという事実は衝撃的だ。このことは、障害者の前進のために私たちにできること、しなければならないことがもっとあることを示している」とした。

また、「コンコルド広場がフランス革命の中心だった時から225年がたった今、2024パリ大会がパラリンピック革命、つまりインクルージョン革命の始まりになることを願っている」と述べた。

パラリンピックの聖火パレードには12人のパラリンピック金メダリストが参加。チュイルリー公園へと運ばれた。

そして、フランス選手団旗手のケイタ選手とハンキンカン選手、同選手団のシャルル・アントワーヌ・クアクー、ファビアン・ラミロー、エロディ・ロランディによって聖火台にともされた。聖火台は夜空に浮かび上がり、開会式は花火でフィナーレを迎えた。

パラリンピックの見どころ

IPCのパーソンズ会長は開会前、パリ大会が「パラリンピック史上最も華やかな大会」になると確信していると述べた。

チケットは200万枚が売られ、まだ約50万枚が残っている。

オリンピックで使われた多くの会場がパラリンピックでも使用される。陸上競技はスタッド・ド・フランス、水泳はラ・デファンス・アリーナ、車いすテニスはローラン・ギャロス、パラ馬術はヴェルサイユ宮殿で、それぞれ開かれる。

パラトライアスロンはパリ中心部で実施され、スイムはセーヌ川で行われる予定。オリンピックのトライアスロンでは、水質悪化が原因で練習が中止され、競技も1日延期された。

オリンピックと同じく、ウクライナでの戦争を理由として、ロシアおよび同国と同盟関係にあるベラルーシは出場が禁止されている。ただ、両国の一部の選手らは、中立パラリンピック選手団(NPA)の一員として参加が認められている。

エリトリア、キリバス、コソヴォはパラリンピックに初参加。パラリンピック難民選手団として8選手が出場する。

イギリスからは215人の選手が出場。100~140個のメダル獲得を目標としている。(※編集部追記=日本からは海外開催の大会としては過去最多の175人の選手が出場する)

写真で見るパラリンピック開会式

(英語記事 Spectacular opening ceremony ignites Paris Paralympics

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c703lp2xkkwo


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