気象庁は29日、強い台風10号（サンサン）が午前8時ごろ、鹿児島県薩摩川内市付近に上陸したと発表した。非常にまれな「特別警報」を発表し、暴風と波浪、高潮への警戒を呼び掛けている。
27日にはこの台風の影響で、愛知県蒲郡市では土砂崩れが発生し、住宅が巻き込まれた。当局は29日朝までに5人を救助したが、うち3人の死亡を確認したと発表した。亡くなったのは、この住宅に住む70代の夫婦と、30代の長男だとされる。
台風は29日午前11時時点で、熊本県天草市付近を1時間に15キロの速さで北へ進んでいるとみられる。
また、午前11時時点で25万5000世帯超が停電に見舞われているという。
九州では、今後24時間以内に最大で600ミリ以上の降雨が予想されている。
九州に拠点を置くトヨタ自動車や日産自動車などは、従業員の安全に加え、台風の影響で部品不足の可能性があるとして、工場を閉鎖している。
空の便にも影響が出ており、数百便が欠航している。また、一部の新幹線も計画運休や運転見合わせを発表している。
気象庁は、この台風が週末には、東京を含む本州の東側の地域に向かって進んでいくとみている。
台風の特別警報は、数十年に1度しかないような勢力で日本に接近すると予想される際に発表されるもので、これまでに3回しか発表されていない。前回の2022年9月の台風14号では、沖縄県以外で初めて、台風の特別警報が発表された。
台風10号は、今月初旬の台風7号（アンピル）に続けて発生。台風7号では日本国内の負傷者や被害は軽微だったが、それでも数百便の飛行機や列車が運行不能になった。
その前には台風5号（マリア）が、東北地方に記録的な大雨をもたらした。
先月発表された調査によると、この地域の台風は海岸線に近い場所で発生し、気候変動よって陸地ではより急速に強まり、より長く続くという。
（追加取材：中山千佳）
