2024年11月22日(金)

インドから見た世界のリアル

2024年8月28日

 インドで8月29日から行われる多国間共同演習「タラン・シャクティ24」に、航空自衛隊はF-2戦闘機3機が参加する。航空自衛隊の戦闘機がインドに展開するのは初めてである。

(dreamnikon/gettyimages)

 インドが昨年この演習実施を発表して以降、この演習の意義に関し、Wedge ONLINE上で、何度か書いてきたが、この演習は、単に航空自衛隊の戦闘機がインドに飛んだという以上の大きな戦略的意義がある。インドの戦略の変化を示す重要な点が隠れているからだ。

QUAD+NATO諸国の演習をインドが主催!

 まず、今回の多国間演習の参加国だ。今後も変化があるかもしれないが、現時点で軍用機を参加させることが確定しているのは、日米豪印の協力枠組み「QUAD(クアッド)」全部と、北大西洋条約機構(NATO)諸国である英仏独ギリシャ、そして、シンガポールとアラブ首長国連邦(UAE)である。そのほかに、多くの国からオブザーバーが参加する予定ではあるものの、中国やパキスタンだけでなく、ロシアからも軍用機は参加しない。つまり西側諸国と一部グローバルサウス諸国が主体となる空軍の大規模演習である。

 インドは過去、米国が主催する多国間空軍演習「レッド・フラッグ」や、豪州が主催する「ピッチ・ブラック」に参加してきたから、それらの演習を参考に、自らが主催する、多国間空軍演習を企画したものと思われる。ただ、「レッド・フラッグ」も「ピッチ・ブラック」も、練度の向上だけでなく、同盟国・同志国間の友好関係と連携を強化し、その連携を世界に見せつける効果を狙ったものでもある。見せつける相手は、もちろん呼ばれていない国々に対してである。

 だから、インドが、QUADとNATO諸国を中心とする大規模共同演習を企画すること自体、これまでの方針より一歩踏み込んだものといえる。特にインドが念頭に置いている、中国は、この演習を無視できないだろう。


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