2023年12月5日(火)

インドから見た世界のリアル

2023年1月8日

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長尾 賢 (ながお・さとる)

米ハドソン研究所 研究員

学習院大学大学院にて博士号(政治学)取得。米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員などを経て2017年から現職。日本戦略研究フォーラム上席研究員、スリランカ国家安全保障研究所上級研究員、未来工学研究所特別研究員なども兼任。著書に『検証 インドの軍事戦略』(ミネルヴァ書房)。

 2023年1月16日から26日にかけて、インドの戦闘機4機(インド初の女性戦闘機パイロットも含む)と大型輸送機2機、空中給油機1機が、茨城県にある百里基地にきて、航空自衛隊と共同演習「ヴィーア・ガーディアン」を行う。日印で行われる初めての戦闘機の共同演習である。実は、大変重要な演習である。

来日する予定のインドの戦闘機「Su-30MKI」(AP/アフロ)

 なぜそういえるのか。筆者は、日印戦闘機の共同演習について長らく、その重要性を繰り返し指摘してきた。筆者の知る範囲では、日本でその必要性を訴えて執筆し続けてきたのは筆者一人である。だから、今回、実現するにあたって、なぜこの演習がそれほど重要なのか、きちんと説明したい。大きく3つの理由がある。

対中国戦略としての有効性

 最初に、この演習は、中国を念頭に置いた国家戦略上、とても重要である。スウェーデンのシンクタンク、ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、11~20年の間、中国の軍事支出は76%伸びているが、日本は2.4%しか伸びていない。アメリカは10%減っている。

 このような環境においては、日本単独では、中国とどんどん差をつけられてしまう。次の5年間で防衛費を伸ばしたとしても、全然足りないだろう。だから多国間で協力して、中国の軍事支出や戦力を多方面に分散させる努力が必要である。

 もし、日本とインドの空軍が連携していれば、何ができるだろうか。中国からすると、台湾や日本を攻撃する場合、戦闘機を台湾や日本の正面に集中したい。でも、日本とインドが連携していたら、中国は、インドのことが気になる。

 中国は、インドが攻撃してくる場合に備えて、一定の数の戦闘機を印中国境の方に、配備しておかなければならない。印中国境に配備した中国戦闘機は、台湾や日本を攻撃するためには使えないだろう。実際、今回来日するインドの戦闘機スホーイ30には、射程の長い、新しい超音速巡航ミサイルが搭載される予定だ。中国の内陸部を攻撃できるようになるから、中国にとっては気になるところだ。

 逆に、中国がインドを攻撃する場合でも、中国は、日本のことが気になるだろう。日本も、これから射程の長い巡航ミサイルを配備する。日本とインドの反撃能力は、日本とインド両方にとって国益になる。日本とインドは連携するべきなのである。


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