2023年1月30日(月)

インドから見た世界のリアル

2022年12月13日

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長尾 賢 (ながお・さとる)

米ハドソン研究所 研究員

学習院大学大学院にて博士号(政治学)取得。米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員などを経て2017年から現職。日本戦略研究フォーラム上席研究員、スリランカ国家安全保障研究所上級研究員、未来工学研究所特別研究員なども兼任。著書に『検証 インドの軍事戦略』(ミネルヴァ書房)。

 2022年も終わろうとしている。23年はどのような年になるだろうか。一つの指標は、世界をどの国がリードしていく年になるか、である。

 23年、日本は主要7カ国(G7)の議長国であり、インドが20カ国・地域首脳会議(G20)の議長国である。23年の世界情勢をどの国がリードするか、といわれれば、日本とインドの責任は大きいかもしれない。そして、日本では、インドがG20をどのようにリードするつもりなのか、あまり知られていない。実際には、インドは、本気で準備を行っているのである。

G20の議長国に就任したインドはすでにさまざまな動きを見せている(インド政府G20専用Twitterアカウントから)

 インドは22年12月1日、正式に、G20の議長国となった。インドは200以上のG20関連イベントを、インド各地の50以上の都市で行う計画だ。すでに、サイバー安全保障、女性の社会進出、持続可能な社会などの会議が行われている。

 インドのモディ首相は、全国の知事を集めた会議を開催し、G20は「インドの力を示すユニークな機会」だと述べた。そして、ジャイシャンカール外相は、「(インドの各地方も含めた)国家的お祝い」にしたいとも発言している。

 モディ首相は12月1日に読売新聞にも寄稿しており、その意気込みがわかる。インドはG20を機会に、これ以上ないくらい大きな動きを見せているのだ。いったい、インドは、G20で、何をしようとしているのだろうか。

ロシアのウクライナ侵攻で意義を増すG20

 インドがこれほど力を入れるのは、成長続くインドが自らの力に自信を持ち始め、その力を世界に示したいからである。23年、インドの人口は中国を抜き、人口14億人、世界一の人口大国になるものとみられている。また、国防費に関しては、すでに、米中に続く世界第3位である。国内総生産(GDP)に関しても、このままいけば、あと10年以内に、日本を抜いて世界第3位になることが予想されている。このようなインドの成長を、世界に正しく理解してもらうには、ちゃんと宣伝する機会が欲しいのである。

 G20は、そのようなインドの成長を見せるよい機会だ。もともとG20は、世界政治で最も影響力があるとみられていたG7の日米英仏独伊加の7カ国と欧州連合(EU)に、新たに影響力を増してきた新興国(ロシア、中国、韓国、インド、豪州、インドネシア、サウジアラビア、トルコ、南アフリカ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチンの12カ国)を加えた枠組みである。

 G20を合計すると、世界の人口の3分の2、GDPの85%、国際貿易の75%を占める。世界には約200の国があるのであるから、その1割に満たない国が、これだけの力を持っていることを示している。そこから考えて、インドは、このG20の会合を通じて、世界政治に影響力を持つ国々を、議長国として、リードしたいのである。

 ただ、実際には、これまでG20は、G7に比べ、あまりいい成果を上げてこなかった。国の数が多くなればなるほど、意見をまとめるのは難しくなるからだ。しかし、その状況は今年、大きく変わった。ロシアによるウクライナ侵略が起きたからである。


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