2022年12月8日(木)

インドから見た世界のリアル

2022年10月25日

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長尾 賢 (ながお・さとる)

米ハドソン研究所 研究員

学習院大学大学院にて博士号(政治学)取得。米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員などを経て2017年から現職。日本戦略研究フォーラム上席研究員、スリランカ国家安全保障研究所上級研究員、未来工学研究所特別研究員なども兼任。著書に『検証 インドの軍事戦略』(ミネルヴァ書房)。

 10月18~22日、モディ印首相も出席して、インドで大規模な兵器の見本市が行われた。そこでは、インドの武器の国産化、インドと米露間の関係の複雑性がみてとれ、日本にとっても教訓の多いイベントとなった。以下、順を追って説明したい。

インドの武器見本市にモディ首相も参加したことは大きな意味を持つ(AP/アフロ)

兵器の国産化を進めるインド

 インドは、以前から兵器の国産化をしたいと考えていた。当初は火砲、1964年には戦闘機、74年には核兵器、83年にはフリゲート艦、95年には弾道ミサイル、2004年には戦車の国産に成功してきた。

 しかし、近年、インドはこの傾向を急速に加速させている。ここ数カ月だけでも、原潜からの弾道ミサイル発射実験に成功、国産の空母、戦闘ヘリコプターの開発に成功し、ドローンや宇宙、AIの開発にも力を入れている。

 最近では、輸出にも力を入れ始め、14年までで、わずか900~1300クロー(1クローがインドの1000万ルピー)でしかなかった武器輸出の規模は、その後3万クローに達するようになった。25年までに毎年3万5000クロー稼げることを目指す。その中には、ロシアと共同開発した超音速巡航ミサイルのフィリピンへの輸出などが含まれる。

 ただ、実際には、インドの武器は、まだ不十分な部分がある。例えばインド国産戦車アージュンの60%の部品はドイツ製であると指摘されてきた。そのため、インドはまだまだ兵器の輸入に頼っており、米中露などの大国に肩を並べるには程遠い。

 それでも、インドの積極性は明らかである。今回の武器の見本市のテーマは、「プライドへの道」。兵器を国産化して、世界の大国の仲間入りを果たす、という強い意志の表れである。

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