2023年2月8日(水)

インドから見た世界のリアル

2022年10月25日

»著者プロフィール
著者
閉じる

長尾 賢 (ながお・さとる)

米ハドソン研究所 研究員

学習院大学大学院にて博士号(政治学)取得。米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員などを経て2017年から現職。日本戦略研究フォーラム上席研究員、スリランカ国家安全保障研究所上級研究員、未来工学研究所特別研究員なども兼任。著書に『検証 インドの軍事戦略』(ミネルヴァ書房)。

 米国軍のアフガニスタンからの撤退以後、パキスタン国内ではイスラム過激派関連のテロ活動が51%増加している 。再び、テロ問題がクローズアップされつつある。結果、米国のバイデン政権は、パキスタンとの協力を一部再開しつつある。トランプ政権時代に止めていた、パキスタン軍が保有する米国製F16戦闘機を維持管理するための部品供給を、再開することにしたのである。

 インドはこの部品供給再開に強く反対してきた。それにもかかわらず、再開されることになり、不満だ。ただ、米国も、インドのロシアとの関係が不満だ。

 インドは、米国の反対にもかかわらず、ロシアからS-400地対空ミサイルを購入している。また、イスラム過激派対策では、中央アジアにおけるイスラム過激派の動向に関する情報をほしがっている。中央アジアではロシアの影響力が強いから、インドはロシアから情報提供を受けている。

 米国とパキスタンの関係を懸念するインド、インドとロシアの関係を懸念する米国の間で、一定の不信感が存在する状態が続いているのだ。

日本にもとめられる積極性

 つまり、インドの武器見本市の動向からわかることは、武器の取引が安全保障上、大きな影響を持つことである。だからこそ、インドは武器の国産化を進めようとしている。そして国産化のために、米露を含む各国からの技術導入と、武器輸出に力を入れている。その努力はゆっくりではあるものの、成果を上げ始めている。

 インドのこのような姿勢は、日本にとって教訓をもたらすものである。武器の輸出がこれほど影響力をもつものならば、日本はもっと武器輸出に積極的になる必要がある。

 かつて、南スーダンで韓国軍が窮地に陥ったとき、日本は銃弾を提供した。論理的に考えれば、銃弾を韓国に提供できるなら、日本はウクライナや台湾、インドなどにも、銃弾などの殺傷武器を提供できるはずである。

 ロシアのウクライナ侵攻や、中国の台湾への軍事行動が懸念される中で行われた、インドの武器の見本市は、日本が、世界の変化の速さについていくことの重要性を、強く示唆するものである。

 
長尾賢氏による論稿「中国と本気で戦うインド 日本はどれだけ理解しているか」はWedge Online Premiumにてご購入することができます。

  
▲「Wedge ONLINE」の新着記事などをお届けしています。


新着記事

»もっと見る