インドが中国を意識しているものと見られる部分は他にもある。他の友好国の選び方だ。インドはG20に関し、専用のTwitterを開設して、情報発信している。しかし、そこでは、今年の議長国のインドネシアと再来年の議長国のブラジル、日本と米国、フランスなどがよく出てくるのに対し、中国がほとんど登場しない。インドがどの国を好んでいるか、自然と本音がでているといえよう。
ゲスト国以外に、インドはゲストとして国際機関を呼んでいる。インドが、日本が強い影響力をもつアジア開発銀行の代表を呼んでいることは、注目である。中国のインフラ開発計画よりも、日本のインフラ開発を重視していることの表れである。
加えて、今回のG20で掲げている、モディ首相の言葉は、中国とロシアにとっては、不愉快なものかもしれない。モディ首相はG20議長国就任にあたり、「われわれはトップダウンではなく、市民が主導する人々の動きとしての国家の発展を目指す」「今は戦争の時代ではない」と演説している。
インドの狙いから日本への示唆
以上から、インドは、世界へ自らの実力を示す機会として、G20に注目しているものとみられる。実際、新興国の力が増す中、インドの役割は重要になるだろう。そして、中国に負けないためにも、インドは日本や米国との関係強化をしようとするものとみられる。
問題は、日本がそれに答えるか、だ。日本は23年、G7の議長国である。当然、日本はG7関連イベントを多く行い、G7との関係強化に注目が集まるだろう。
G7との関係強化は大事だ。だが、G7偏重になってしまい、次の時代を担うであろう国々に目が向かない事態は避けなければならない。次の時代を見据えれば、インドのような国々について、日本の戦略で、相当の努力を割いておくべきである。今、将来を見据えた戦略が求められているのである。