2022年9月29日(木)

インドから見た世界のリアル

2022年4月6日

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長尾 賢 (ながお・さとる)

米ハドソン研究所 研究員

学習院大学大学院にて博士号(政治学)取得。米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員などを経て2017年から現職。日本戦略研究フォーラム上席研究員、スリランカ国家安全保障研究所上級研究員、未来工学研究所特別研究員なども兼任。著書に『検証 インドの軍事戦略』(ミネルヴァ書房)。

 今年、日本で日米豪印のクアッド(Quad)首脳会談が予定されている。対中国を念頭に置いた日米豪印の協力枠組みである。しかし、今、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、このクアッドの枠組みが揺れ動いている。ロシアに対して強い態度をとる日米豪に比べ、インドはロシアの友好国で、ロシアに配慮し、対ロシア制裁に協力しないからだ。

日本によるインドへのCH-47輸送ヘリのリースが安全保障情勢を変化させるかもしれない(ロイター/アフロ)

 このような姿勢の一因には、インド軍が、ロシア製の武器に依存していることがある。武器はハイテク製品なのに乱暴に扱うため、常に修理が必要で、インドはロシアからの修理部品の供給に依存しているからだ(参照「ロシアを非難する国連決議にインドが棄権した理由」)。

 今後、クアッドの協力を継続していくには、インド軍のロシアへの依存度を下げていくことが望ましい。具体的には、インド軍に武器を供給することだ。

 今回は、具体策として、日本がインドにCH-47輸送ヘリをリースすることを提案したい。そこには、どのような利点や課題があるのか。どのような将来性があるのか、検討してみる。

3つの大きな利点

 CH-47輸送ヘリとは、二つローターがある大型の輸送ヘリコプターのことである。陸上自衛隊と航空自衛隊に約70機配備されており、災害派遣などで活躍することが多い。大変有用な装備である。

 実は、日本ではCH-47輸送ヘリは、ちょうど更新期を迎えている。1984年から配備され始めたため、20年以上使った機体が出ているのだ。新しい機体を購入すれば、古い機体はいらなくなる。

 ただ、古い機体といっても、あまり古くないのが実態だ。日本では整備を厳しく行ってきたため、使おうと思えばもっと長く使える。このCH-47輸送ヘリを格安、または無料でリースし、他の国で使ってもらうことが可能なのである。そこで、インドへのリースが候補になる。

 実は、この武器は、インドで強いニーズがある。今、インドと中国の国境では、中国軍がインド側に侵入したままの状態である。中国軍は、最新の武器を大規模に展開し、インドに圧力をかけている。

 そのためインドも、印中国境の防衛のために軍の大規模展開を進めている。特に、中国から侵略を受けた際に反撃に出る部隊、インド陸軍第17軍団を創設したことは大きい。しかし、印中国境は山岳部だ。だからヘリコプターによる移動が有用なのである。

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