ロシアと従来通りの通商、協力関係を維持する第三国にも経済制裁を科すべきか――。ウクライナ戦争が長期化する中、米政府当局者の間で、ロシア経済に一段と深刻なダメージをあたえるための「第二次制裁(secondary sanctions)」と呼ばれる強硬措置の是非について慎重な検討が始まっている。
「われわれは、今後世界の友邦諸国と連携し、ロシアの経済力、軍事力を多年にわたり削ぎ落す徹底した措置を打ち出していく」
米バイデン大統領は去る3月1日、米議会における一般教書演説の中でこのように述べ、対ウクライナ侵略の代償として、ロシアに対し断固たる制裁措置を科す決意を表明した。
実際に米国はロシアのウクライナ侵略開始以来、日欧諸国とともに①ロシア中央銀行が諸外国に保有する外貨の凍結、②ロシア主要銀行の国際金融取引の大幅制限、③ロシアへの自動車、航空機、半導体など関連部品の輸出規制、④ロシア富裕階層の海外資産一時差し押さえ、⑤ロシア発国際航空便の飛行規制――などの対露制裁措置を相次いで打ち出してきた。
しかし、ロシア通貨ルーブルの下落、貿易収支の悪化、国内物価急騰など国民生活へのかなりの影響が出始めてはいるものの、これまでのところ、プーチン体制の存在を脅かすほどの深刻な事態には至っていない。
見えつつある経済制裁の〝抜け道〟
そこで最近、バイデン政権内部で真剣な検討が始まったと言われるのが、これまでの西側陣営を主体とする対露制裁の〝抜け道〟となっている中国、インドなど親露諸国に対する「第二次制裁」措置だ。
3月24日付けのワシントン・ポスト紙は、「バイデン政権高官たちは、ウクライナでの(ロシア軍攻撃による)犠牲者が増え続ける一方、これまでの対露経済制裁の効果が不明のため、劇的に制裁をエスカレートさせる方策を検討し始めた」として、次のように報じた: