インドから見た世界のリアル

2022年3月19日

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長尾 賢 (ながお・さとる)

米ハドソン研究所 研究員

学習院大学大学院にて博士号(政治学)取得。米戦略国際問題研究所(CSIS)客員研究員などを経て2017年から現職。日本戦略研究フォーラム上席研究員、スリランカ国家安全保障研究所上級研究員、未来工学研究所特別研究員なども兼任。著書に『検証 インドの軍事戦略』(ミネルヴァ書房)。

 各国がロシアへの経済制裁をかける中、インドがロシアから原油を非常に安い価格で輸入することを検討している。輸送手段や保険の加入など、解決しなければならない問題があるが、それが整えば、実際に購入する可能性がある。

 米国は2022年3月8日にロシア産の原油、天然ガス、石炭などの輸入を禁止しているから、インドがロシアから原油を輸入すれば、これは制裁の効果を弱めてしまう可能性があり、問題だ。なぜインドはこんなことをするのだろうか。そこには、インド側の3つの考え方がある。

インド国内では、ロシアを支持するデモも繰り広げられている(ロイター/アフロ)

漁夫の利を得られる

 まず、インドは、ロシアと国境を接していない。だから、ロシアとウクライナの問題は、インドとは関係ない問題だと考えている。

 今も、イエメンでは内戦が続いているし、インドが中国やパキスタンと争ったときも、それを自国の問題のように捉える国は少ないものとみている。だから、ウクライナがどうなろうと、知ったことではない。経済制裁に困ったロシアがインドにいい条件を提案し、インドにとって得ならば、何をためらう必要があるのか、という立場である。

 しかも、ロシアからの天然資源の輸入に関しては、米国は禁止したものの、欧州連合(EU)は禁止していない。EUは、輸入する天然ガスの約半分、原油では4分の1をロシアから輸入している状態で、今すぐ止めるわけにはいかないのである。だから、インドから見れば、EUだって輸入しているのに、なぜインドがロシア産の天然資源を輸入禁止にする必要があるのか、という論理になる。

欧米諸国への不信感

 ただ、それだけではない。そもそも、インドは、ロシアのウクライナ侵略に対する西側諸国の態度を、疑いの目でみている。それは、西側諸国に対して、伝統的に不信感を持ってきたからである。

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