液化天然ガス(LNG)の有力産出国である中東カタールの存在感が高まっている。同国が欧州へのガス供給量を引き上げることが期待され始めたためである。実際、ロシアのウクライナ侵略によるロシアからの天然ガスの供給量減少や、欧州連合(EU)のエネルギー政策の転換などにより、元より需給のひっ迫により高い水準で推移していたエネルギー価格の、さらなる高騰が現実になりつつある。
欧米諸国がロシアへ厳しい経済制裁を行う中、その報復としてロシアが欧州向けのガス供給を完全中断する事態も想定される。ロシアに代わる天然ガスの供給国が必要だ。
こうした中、バイデン大統領とEUのフォンデアライエン欧州委員長は開戦前の1月28日、EUが約4割をロシアに依存する天然ガスについて、欧州への安定供給維持のために連携する方針を表明する内容の共同声明を発出している。
そのバイデン大統領は1月31日、来訪したタミム・カタール首長とワシントンで会談し、近々米議会に通知して同国を北大西洋条約機構(NATO)非加盟の主要同盟国である「非NATO同盟国」に指名する考えを表明した。
バイデン大統領は今回のタミム首長との会談の冒頭、アフガニスタンからの米国人退避や対テロ作戦でカタールから多大な支援を受けたと謝意を表明し、信頼に足る有能なパートナーであると讃えて経済・安全保障面で関係を強化する意向を示した。
さらに、同会談では食料危機に瀕するアフガニスタンへの人道支援に加え、ウクライナ情勢の悪化で不安定化の懸念が高まっているエネルギー供給なども議論された。
LNGの輸出をより長期的に、しかも大きく拡大させたい意向を持つカタールには、欧州に振り向けられる余剰LNGが一定程度は残されている。ただし、LNG産出量の大半は長期契約に向けられているため、余剰量はそれほど大きくはない。仮に、カタールが短期的な解決策として自国産ガスの一部を欧州に振り向ける場合、削減される大口顧客への米国からの説得が必要になると言われている。
なお、日本はインドや韓国、中国と並ぶ最大の輸出先だ。日欧間での天然ガス融通の動きも出てきつつある。
四方を海に囲まれ、好漁場にも恵まれた日本。かつては、世界に冠たる水産大国だった。しかし日本の食卓を彩った魚は不漁が相次いでいる。魚の資源量が減少し続けているからだ。2020年12月、70年ぶりに漁業法が改正され、日本の漁業は「持続可能」を目指すべく舵を切ったかに見える。だが、日本の海が抱える問題は多い。突破口はあるのか。
特集はWedge Online Premiumにてご購入することができます。