2022年10月8日(土)

バイデンのアメリカ

2022年2月27日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 ウクライナ戦争をめぐる対露制裁の一環として、最後まで躊躇していた〝金融の核爆弾〟といわれるSWIFT国際金融メッセージ・システムについて、米欧主要同盟諸国が26日夕、再度の緊急協議の結果、一転して「ロシア締め出し」を決定した。ロシア金融界にとって致命的ダメージともなりかねない。

ウクライナ危機では、SWIFT制裁に踏み切るよう欧米主要国は求められていた(ロイター/アフロ)

 ホワイトハウスは26日夕(現地時間)、米国、欧州委員会、英独仏伊およびカナダ各国政府による共同声明を急遽発表、この中で「米国は、中央銀行を含むロシアの特定の銀行(複数)をSWIFTシステムから除外することにした。これによってロシアの銀行は国際的金融取引から切り離され、グローバルな業務能力にダメージを受けることになるだろう」と述べた。

 バイデン大統領は24日の記者会見で、「欧州同盟諸国の反対」を理由として、SWIFT制裁の当面見送りを発表したばかりだった。

 しかし、その後、ロシア軍がウクライナに対する軍事作戦を本格化させ、首都キエフ・主要都市への攻撃も激化してきた事態を踏まえ、欧州主要国との再度の協議の上、ロシア制裁の最後の手段とされていたSWIFT制裁措置に踏み切ったものだ。

イラン制裁時にも実施

 共同声明は以下のように述べている:

1.ロシアが侵略行為をやめることなく、引き続き首都キエフその他のウクライナ諸都市に対する攻撃を行っている現状に鑑み、われわれはロシアをさらに国際金融システムおよび国際経済から孤立化させる決断を下した。

2.その第1弾として、ロシア銀行(複数)をSWIFT金融メッセージ・システムから締め出すとともに、今後、確実にこれらの銀行を国際金融取引から切り離し、グローバルな業務展開能力を棄損させることをめざす。

3.ロシア中央銀行が、われわれの科す制裁効果の減殺手段として外貨準備に頼ることのないよう、防止措置をとる。

4.われわれは、ウクライナ戦争に加担するロシア市民、団体に対する対抗措置をとることを決意し、とくに、ロシア政府と深いかかわりのある富裕ロシア人が〝ゴールデン・パスポート〟とされる市民権ビザを使用して欧米との二重市民として西側金融システムにアクセスできないようにする。

5.すでに制裁を科しているロシア首脳に加え、あらたにロシア政府高官、エリート階層及びその家族を慎重にリストアップした上、彼らが海外に所有する資産を凍結する。

 米政府当局者は、このうちとくに対露SWIFT締め出し措置について、「ロシア中央銀行による自国通貨ルーブル防衛が困難になる」との見通しを述べた上で、「これはいわゆる〝イラン・モデル〟である」と説明している。

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