2025年1月2日(木)

Wedge REPORT

2024年12月30日

(Sanga Park/gettyimages)

 年末年始はもちろん、一年中を通して訪れたい場所「京都」。2025年の初詣は、伏見稲荷大社、八坂神社、北野天満宮、平安神宮、下鴨神社など、歴史ある神社はどこも混雑が予想される。一方で、ハイシーズンであってもさほど人ごみに惑わされず、落ち着いて参拝できる神社が京都にもある。それは市街に点在する悠久の古社の数々だ。

 京都には5世紀ごろに渡来人が移り住み、有力氏族による土地の開発が行われており、それら氏族にまつわる神社は平安遷都以前から多数存在していた。それらは京都の歴史と信仰の深み・重みをうかがい知ることのできる恰好のスポットでもある。ここでは京都リピーターにもあまり知られていない京都古社の紹介記事を3本取り上げる。

<目次>

1:【平安京以前の京都には何があったのか?】〈千年の都〉を育んだ悠久の古社をたどる(2024年6月20日)

2:【なぜ賀茂神社は2つあるのか?】京都最古の上賀茂神社・下鴨神社の気になる関係性(2024年7月6日)

3:【何かを封印している?】京都に鎮座する謎の「三柱鳥居」が意味するもの(2024年7月13日)

:【平安京以前の京都には何があったのか?】〈千年の都〉を育んだ悠久の古社をたどる(2024年6月20日)

(Alvin Huang/gettyimages)

 日本の観光地として長らくナンバーワンの人気を誇ってきた京都だが、近年は観光客の過剰さが話題にのぼることが多い。とくに目を引くのは外国人観光客の多さだ。そして観光客の大幅な増加は、騒音・ゴミ・渋滞・マナー違反などのトラブルを引き起こし、いわゆるオーバーツーリズム(観光公害)という問題を生じさせている。

 インバウンドも含め、京都を訪れる観光客はコロナ禍で一時は激減したものの、コロナへの警戒が薄れるにつれて着実に需要は回復。今年のゴールデン・ウィークでは、京都の観光名所はどこも大混雑となった。これには、円安の影響で外国人が日本を訪れやすくなったことも大きく関係していたようだ。「京都の観光客の8割は外国人」という話も聞く。

 名勝・嵐山なども連休中は大にぎわいだった。ここはもともと京都でも一、二を争う人気観光スポットだが、しかしその人込みに出くわして、さすがに辟易した人も少なくはなかっただろう。

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【平安京以前の京都には何があったのか?】〈千年の都〉を育んだ悠久の古社をたどる

:【なぜ賀茂神社は2つあるのか?】京都最古の上賀茂神社・下鴨神社の気になる関係性(2024年7月6日)

下鴨神社・楼門(著者撮影)

 京都の賀茂神社は上賀茂神社と下鴨神社の2つから成るが、古い時代には上賀茂神社、すなわち賀茂別雷(かもわけいかづち)神社しか存在しなかった。言い換えれば、かつては上も下もなく、ひとつの賀茂神社しかなかった。ところが、のちにこの賀茂神社(賀茂別雷神社)から分立されるかたちで下鴨神社、すなわち賀茂御祖(かもみおや)神社が誕生した――このような見方が、現在では通説的な地位を占めつつある。

 ならば、いつ、なぜ分立されたのか。この問題を探る前に、まずは下鴨神社の祭神と鎮座地を確認しておきたい。

 祭神は賀茂別雷神の母神である玉依媛命(玉依日売)と、この女神の父神である賀茂建角身命。下鴨神社の正称を賀茂御祖神社と言うのは、上賀茂神社に祀られている賀茂別雷神の祖(母と祖父)が祀られているからだ。

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【なぜ賀茂神社は2つあるのか?】京都最古の上賀茂神社・下鴨神社の気になる関係性

:【何かを封印している?】京都に鎮座する謎の「三柱鳥居」が意味するもの(2024年7月13日)

木嶋坐天照御魂神社(著者撮影)

 京都・太秦にある大酒神社から東に10分ほど歩くと、木嶋坐天照御魂(このしまにますあまてるみたま)神社の鳥居前に出る。現在の祭神は天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)とほか4神。社名の「木嶋」は社地一帯の古地名で、そのため「木嶋社」を通称とする。現在は宅地に囲まれているが、かつては木嶋という名にふさわしく、周囲には巨樹が繁茂し、境内にある「元糺(もとただす)」と呼ばれる池の水量も非常に豊かだったという。境内社に養蚕(こかい)神社があるため、「蚕の社」という通称もある。

 創祀年代は不詳だが、史料上の初出は『続日本紀』大宝元年(701)4月3日条である。「木嶋神の神稲をこれ以後、中臣氏に給する」というのがその内容である。元糺の池には四季を問わず豊かな水が湧き出たためか、平安時代には祈雨の神としてとくに信仰された。

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【何かを封印している?】京都に鎮座する謎の「三柱鳥居」が意味するもの

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