本格的な夏休みシーズンの到来である。日常の忙しさから離れて自分の周囲にゆったりと目を向ける余裕が出てくる時期でもある。そんな方々に向けて、「現在地を意識する3冊」を選んでみた。
ローカルスーパーで感じる旅情
『スーパーって観光地やねん』 下村英理 (著) 青月社 ¥1,870 税込
まず一冊目は『スーパーって観光地やねん』(下村英理 著、青月社)である。日常に潜む「旅情」を掘り起こす本であるともいえる。
これまであまり意識せず、漠然と感じていたことだが、旅先で訪れるスーパーマーケットは、何かいつもと違う印象があった。考えてみれば、その土地の特性が表れているからであり、それに気づくと実に興味深い場所である。
日本各地のローカルスーパーでは、それまで知らなかった食べ物や飲み物が並んでおり、品揃えも多様である。本書は日本一周を3回達成した現役東大生が、各地で目にした印象的な商品を示した。
東京や大阪など大都市のスーパーでは見られない野菜や惣菜が生鮮コーナーに並び、見ているだけでも飽きることがない様子が本書から伝わる。それぞれの土地における人々のリアルな生活を知る場所としてスーパーマーケットは最適である。
本書は、北海道から沖縄まで各地のスーパーで出会った食品を豊富に紹介する。名前を聞いたことはあるが実際に見たり味わったりしたことのない食べ物がイラストや写真付きで解説されているのは興味深い。
三重県の伊勢うどん、大分県の鶏飯、滋賀県の赤こんにゃく、青森県のイギリストースト、栃木県のレモン牛乳、鹿児島県のあくまき、新潟県の三尺玉パイなど、主食からスイーツまで多岐にわたる。「こんなものを食べるんだ」という驚きや、「どんな味がするんだろう」といった新たな興味がわき、知的好奇心を大いに刺激される。著者はこう記す。
地元の人たちにとっては「日常の場所」かもしれないが、旅人にとっては最高のローカル感に身を置けるスポットだ。一見平凡に思える日常にこそ旅の楽しみが隠れており、各地のスーパー巡りを目的に旅に出たくなる気持ちにさせてくれる。
