2026年7月14日(火)

Wedge REPORT

2026年7月14日

 令和7年度森林・林業白書が2026年6月2日、公表された。世間一般の関心はともかくとして、国民のために森林・林業行政を行っている林野庁としては、国民と行政をつなぐツールとして白書の意義は大きく、渾身の力を込めて毎年白書づくりを行っていると言える。

皆伐作業(筆者撮影、写真とNHKの番組とは関係ありません、以下同)

 と、ここまで書いたのはいいが、日曜の朝に放映されたNHKのテレビ番組で、ある山村と林業の話が放映された。そこでは十数年前の豪雨災害で、大規模な山腹崩壊が起きていた。

 そこから林野庁が得意とするストーリーが始まる。人工林の手入れ不足が山の崩壊につながったのだというのだ。

 その時の豪雨災害の特徴は、樹木の根系の及ばない深層崩壊の多発で、地盤の深層までがえぐられる大規模な斜面崩壊である。森林の良し悪しが関係するのは表層崩壊で、比較的小規模であちこちで起きるものだ。

 ところが映像では復旧工事が済んだ大規模な崩壊地はあるが、その周囲の山々は健全で、手入れ不足の森林はそこかしこにあったはずなのに、崩壊の痕跡はない。むしろ手入れの有無にかかわらず成林した森林ならば、深層崩壊を起こすような豪雨下においても、表層崩壊の防止効果があると評価すべきである。

 ところが話は急にドイツへ飛ぶ。ドイツには崩壊防止のための良い方法があるのかと見ていたら、林業機械の話だった。ハーベスタという立木の伐倒と造材(伐倒木の枝払と丸太の切り分け)ができる重機で、林野庁御推奨の高性能林業機械というやつである。

ハーベスタは日本の林業でも活用されている

 わざわざドイツまで見に行かなくても、日本林業でも活躍している機械だ。この機械を導入して、効率的な間伐作業ができるようになったと賛美する。

 ハーベスタのベースマシンはキャタピラを履いた建設重機なので、平地林ならともかく傾斜が30度もあるような一般的な林地には入れない。そこで重機が走行できる作業道が必要だ。

 森林の手入れには作業道が必須ですという筋書きになるのだが、その映像には高い切土法面、大量の切土の運搬、強風による倒木が発生するような劣悪な線形が映っている。そして、それが山を災害から守るために必要だと説明するのだが、筆者には逆に林地の崩壊を助長する作業にしか見えないのだ。


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