出口の見えない木材価格の低迷
まず、今年度の特集である「森林資源の循環利用の確立に向けて~木材利用と再造林をつなぐ~」の「再造林の推進に向けた取組」から見ていこう。
そもそもなぜ林業が儲からないか、林業が通常の経済行為に乗らないかについて、言い古されたことであるが、ここ数十年この話題は連綿と繰り返されている。底なし沼にはまったままで、抜け出せないのだ。
その原因は、図1をみればすぐにわかる。下のオレンジと青の線に注目していただきたい。
オレンジがスギ山元立木(やまもとりゅうぼく)価格で、スギが山に立っている状態での取引価格である。その立木はもちろん森林所有者のもので、それを素材生産業者が買って、伐採し、丸太(素材)にして運び出し、木材市場で入札に掛けたり、製材所に持ち込んで販売する。その丸太の代表的なサイズがスギ中丸太であり、その価格変化が青線で示されている。
いずれの線も1980年をピークに下降して2010年からは低位安定したままである。価格の優等生とも言えるが、次に示すように立木価格が造林原価を下回っての低位安定なので、現状は赤字前提のたたき売りになっていて、とても再生産に持ち込めるような状態ではない。
森林所有者は、ご先祖様が投資して育ててくれたスギを泣く泣く売って、見かけの収入を手にしているだけなのである。
そこで図2を見てみよう。
育林経費は総額424万円である。皆伐された跡地で、丸太を搬出した後に残された枝葉を整理して(地拵)、そこに苗木を植え付け、その後の5年間自然に生えてくる雑草木を刈り払う下刈をする。最近はシカの個体数の増加で苗木の食害が著しいため、獣害防護柵の設置は必須である。そこまでが赤線で囲われた造林初期費用で、その後侵入した天然木を除去する除伐と植栽木を間引く間伐を行うのが一般的である。


