インド洋の仏領マヨット島を14日、サイクロン「チド」が直撃し、甚大な被害をもたらした。死者は数百人、あるいは数千人に上る恐れがある。
チドは最大時速225キロメートルの突風をもたらし、複数の集落が壊滅状態になった。住民はその場しのぎの避難所に身を寄せている。
サイクロン上陸時の様子を捉えた映像には、避難所として使われている建物の屋根の一部がなくなり、警官が扉を押さえている様子が映っている。
マヨット島の人口は約32万人。住民たちは食料や水、避難所の確保に苦慮しているという。
住民の1人は、備蓄していたものが全て、風に飛ばされてしまったと語った。
水がない状態で3日間過ごしているという別の住民は、「生きるための最低限のものを手に入れようと」、物資配給の列に並んでいた。
現地では救助活動が続いており、被害の全容はまだ把握できていない。
貧困層が暮らすコミュニティーは、特に大きな打撃を受けていると考えられている。マヨット島には、亡命を求めて渡って来た非正規移民もいる。
フランスからの財政援助に大きく依存しているマヨット島は、貧困や失業、政情不安に長い間苦しんでいる。
人口の約75%が貧困ライン以下の生活を送っており、3人に1人が失業している。
エマニュエル・マクロン仏大統領は、「全てを失ったり、命を失ったり、最も恐ろしい数時間を経験したマヨット島の同胞たち」に思いを寄せていると述べた。
フランスからの援助や、救助隊もマヨット島に入っているが、一部の集落には救助隊がたどり着けていない。