最後に、局所的な問題として、(3)電圧や送電線容量の制約がある。需要規模(水槽の大きさ)が小さいローカル系統では、PVの出力が急増すれば、電圧(水位)上昇の影響が大きいため、変電所での電圧調整が間に合わなくなる。また、送電線制約(図下の2)とは、隣接地域に電力を送る送電線容量(水を送るパイプの太さ)が細いために、PV(蛇口)の増設が難しくなっていることを指す(無理に流すと送電線や変圧器の加熱といった不具合が生じる)。
重要なことは、需要規模(水槽)が小さいほど、PV等の急増による周波数や電圧の変動影響が大きく、基幹系統につなぐ送電線容量(パイプの太さ)が不可欠となることだ。つまり、再エネは地産地消エネルギーと言われるが、大量に導入していくと、広域運用が必要になる。こうした系統対策は数年から場合によっては10年程度の時間を要し、費用も莫大となる。例えば、東北・北海道地域に風力発電500万kW、PV90万kWを増設するのに必要な系統対策費は1兆1700億円に上ると試算されている。
■WEDGE3月号 第2特集 太陽光バブル拡大 蓄積される「歪み」
◎バブル最前線九州 メガソーラー乱開発で「エコ」と矛盾も
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朝野賢司(電力中央研究所主任研究員)×WEDGE編集部
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