電力需要が小さく、他地域との連系線の容量も限られている北海道や九州等では、再生可能エネルギーの系統接続に制約が生じつつある。
太陽光発電(PV)急増による電力品質への影響として、電力系統全体の問題((1)周波数、(2)下げ代(しろ)の制約)、局所的な問題((3)電圧や送電線容量の制約)に大別される。電力系統を水道にたとえると、蛇口は発電設備、水の流入量は供給力、流出量は需要である(図参照)。周波数(Hz)、需給が一致すると、周波数は基準値となる(東日本は50Hz、西日本は60Hz)。周波数は基準値の範囲内(北海道では±0.3Hz)に保たれるように、発電機の1秒間の回転数が調整されている。
(1)周波数の制約とは、周波数のズレが一定の範囲内に収まる程度に、PV等の系統接続量を制限することだ。PV等の設備(蛇口)が増加すると、気象条件で供給力(水の流入量)が増減するため、周波数(水の重量)のズレが大きくなりやすい。瞬時の変動には揚水発電や火力発電で対応するが、これ以上、瞬時に供給力(流入量)を増やす、もしくは減らすことが出来ない場合がある(図下の1)。周波数が基準値から逸脱すると、産業用機器の不安定動作などの悪影響を与える。
「周波数」と「下げ代」の制約
(2)下げ代の制約とは、火力発電が運転を継続するためには一定値以上の発電出力を維持しなければならないことから発生する。PV等の供給が増えると、呼応して火力発電は出力を下げる。しかし、需要が小さい日(ゴールデンウィークの昼間等)は、火力発電が技術的にこれ以上出力を下げられない「下げ代不足」が生じる。この対策として、日本では需要が小さい日に、PV等の出力を抑制することが認められている。ただし、これが30日を超えた場合、超過分は(実際に発電せずとも)電力会社がPV事業者へ補償をしなければならないので、接続の制約となる。なお(1)と(2)の違いは、原因が20分未満の小刻みな変動か、それ以上の比較的長く大きな変動かの違いである。
北海道では、2013年3月末までに500kW以上のPVの接続申請が185万kWに達した。このうち2000kW以上のPVは、(1)周波数制約により合計40万kW程度まで、同様に、(2)下げ代の制約により、500kW以上のPVは70万kWまでしか連系できなくなった。(2)下げ代制約は出力抑制期間を30日以上に変更すれば当然緩和されるので、経産省は昨年7月、北海道の70万kWを超えたPV(500kW以上)に限り、出力抑制の30日ルールを撤廃することで、連系可能量を増やした。