トランプがカナダ産品に課した高関税措置
ロジャーズの弱みは、自ら起こしたことばかりではない。トランプがカナダ産品に課した高関税措置は、ロジャーズのアキレス腱になるかもしれない。
9月7日「労働者の日」にデトロイトのダウンタウンで労働組合のメンバーや家族を中心に大規模なパレードが行われた。そのパレードにエルサイードの姿があった。彼は参加者と積極的に握手を交わしていた。筆者が自己紹介をすると、彼は笑顔でこう語った。
「あなたのことを聞いていますよ」
「……」
2日前、デトロイトの民主党フィールドオフィスの運動員がメールをした“アブドゥル”は、確かにエルサイードのことだったのだ。運動員とエルサイードの近いコミュニケーションに少なからず驚いた。
パレードの多くの参加者が、カナダの国旗に描かれている「メイプルリーフ(サトウカエデの葉)」と「隣人と共にある」と印刷されたプラカードを持って行進をしていた。彼らは、トランプがカナダ産品に課した高関税措置に反対の意思を示した。ミシガン州とカナダのオンタリオ州は経済的に相互依存の関係にあり、今回のトランプの高関税措置は、例えば自動車サプライチェーンに影響を与えるとみられている。
先のローカル4とデトロイト・ニュースのミシガン州民を対象にした共同世論調査(2026年8月31日~9月3日実施)によれば、カナダ産品への関税に関して28.6%(「強く」と「いくらか」の合算)が「支持する」、64.2%(同)が「反対する」、7.2%が「分からない」となっている。「反対する」が約36ポイントも「支持する」を上回った。さらに、64.2%のうち、「強く反対する」のパーセンテージは、52.5 %に上っていたのである(図表2)。
トランプはそもそも対イラン戦争から国民の目を逸らすために、カナダ産品に対する高関税措置を表明した。それはロジャーズの足を引っ張る結果になるかもしれない。
エルサイードは、ロジャーズ(Rogers)がトランプと巨大企業の「イエスマン」だと非難し、例えば、トランプが彼に「マイク、データセンターを建てろ」と命令を出すと、ロジャーズは「ラジャー!(了解!)」と答えると揶揄している。無線の通信でラジャー(roger)は「分かりました」の意味で使われるからだ。このジョークは、エルサイードの選挙集会で大いに受けている。
エルサイードは、トランプとロジャーズを一体化して描き、トランプの高関税措置反対の立場を強く打ち出していくことが選挙戦で極めて重要になってくるだろう。
エルサイードは、民主党穏健派とアフリカ系の票を獲得し、データセンター建設反対とトランプ関税反対および薬価引き下げ賛成の共和党支持者が投票所に出向かなければ、この上院議員選において勝利するチャンスが巡ってくるだろう。

