台湾への依存を減らすことも急務である。米国内の半導体工場建設を加速するとともに、日本、オランダとの協力を深め、TSMCの日本とアリゾナの生産能力を可能な限り早く立ち上げなければならない。
米中が協調してAI開発競争の速度を落とすという構想には期待すべきではない。中国は過去、世界貿易機関(WTO)上の約束やサイバー分野の合意を守らず、先端技術の獲得を続けてきた。AIについても中国が米国と歩調を合わせて開発を減速させると考える根拠は乏しい。
最大の脅威は、AIそのものの暴走ではない。中国がAIを支配し、その力を台湾の掌握と米国に代わる世界的優位の確立に利用することである。AI競争と台湾危機は、いまや切り離して考えることのできない一つの戦略問題となっている。
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注目される人民解放軍建軍100周年
この論説は、現在私たちが直面する21世紀の苛烈な地政学的な現実の一面を端的に指摘している。AIと台湾という、それぞれに国際情勢を左右する案件が収斂し、実質的には一つの戦略的課題になると喝破している。9月の米中首脳会談における核心的な論点がAIと台湾だったことは記憶に新しい。
筆者であるギャラガーは、米海兵隊に入隊し7年間勤務した後、17~24年まで下院議員(共和党、ウィスコンシン州)を務め、軍事委員会を中心に活動した。19~21年には超党派のサイバー戦略検討委員会共同議長、23年には新設された「米国と中国共産党との戦略的競争に関する下院特別委員会」初代委員長に就任。台湾防衛、半導体、重要鉱物、TikTokなどを国家安全保障問題として取り上げた。
24年、議員辞職し、現在は、AIとビッグデータで軍事・情報機関の意思決定を支えるパランティア社の防衛部門責任者だ。この論説には、豊富な実務経験から導かれた視座が生きている。
台湾は、中国にとっては「核心的利益」である。「分割不可能な神聖なる領土」で中国共産党の正当性を主張する根拠だ。AIが存在する遥か前から、台湾統一は歴史的使命と認識されている。
従って、台湾侵攻は失敗が許されず、台湾統一というレガシー欲しさに無謀な戦争を引き起こし敗北して歴史に汚点を残すことは、習近平には最も避けたいことのはずだ。そのためには、人民解放軍の能力強化が不可欠だ。
そこにはAIも当然に含まれる。AIは今や、兵器そのもの以上に、軍事力の「質」と「速度」を左右する基盤技術となっているからだ。これこそ、筆者が指摘する「デービッドソン・ウィンドウ」と「ダリオ・ウィンドウ」の収斂だ。
そこで、注目されるのが人民解放軍建軍100周年である27年だ。「習近平が27年までに台湾侵攻を成功させる能力を整えるよう指示した」というのが米情報機関の認識だ。
