風の谷幼稚園 3歳から心を育てる

2010年3月11日

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野村 滋 (のむら・しげる)

株式会社コンテンツ・ファクトリー代表

情報誌会社勤務時代に取材で、創立間もない風の谷幼稚園と出会う。その後12年間、風の谷幼稚園の変遷を追い続けている。風の谷幼稚園の教育実践記『4歳の胸のうち』『5歳の誇り』を同社から出版。

合宿は、食事の習慣もより合理的なものへと定着させる良い機会である

 例えば、子どもの食事中の水分の取り方についての指導などが行われる。園長自らが説明に立ち、「食事中に水やお茶を沢山飲んで、よく噛まず、流し込んでしまう子どもが増えている」との指摘を行う。そして、良く噛めば唾液が出て飲み込みやすくなるし、胃腸への負担が軽減する。だから、食事を流し込む習慣を改めさせるために、お茶は食事中には出さず、味噌汁などで水分を補い、お茶は食後に飲ませるようにする、といった細かな生活指導を行い、合宿本番までに、その合理的な生活習慣を家庭で定着させるように促す。

 そして、合宿では合理的な水分の取り方を実践する。合宿という特別な機会だからこそ、その行動は印象深く心に刻まれ、子どもたちはそのやり方を受け入れていく。つまり、合宿という機会は、子どもたちの日頃の生活習慣を再チェックし、合理的習慣を定着させる機会としても位置付けられているのである。

 もちろん、合宿に向けたきめ細かな指導は、直接子どもたちに対しても行われる。合宿が目前に迫った1学期の後半には先生たちの指導も「合宿モード」になってくる。例えば、「うんち」の話題を積極的に取り上げて朝の生活習慣に意識を向かせたり、家庭での「自分の仕事」などを話題にしては「自分でやるべきことができているか」ということに意識を向かせたりする会話を多く行う。 

 さらに、子どもたちは合宿を通じて新しい生活力を獲得することにもなるが、この具体的内容については、密着レポート第6回「優しい子が育つお風呂と洗濯袋」の入浴マナーをぜひご参照いただきたい。

非日常の環境で
生活できたことが「誇り」に

 今まで紹介した活動の他にも、キャンプファイヤー、湿地帯探検、山登り、スキーでつかう急斜面を使っての草すべりと、仲間たちと全身を使って遊ぶ。この結果、目的(3)が達成されたことは帰りのバスの中での健やかな寝顔が物語っている。では、合宿から帰ってきた後、子どもたちはどのように変わっていくのだろう? 「合宿だより」には以下のように記されている。

自分でしようとする力(真愛・母)
(前略)今回先生方のご指導もあり、生活面での不安がほとんどないことで、合宿がいつもと変わりない生活状態でいられたのだと思います。真愛は毎日よく眠れたと言っていました。本当にうれしいことです。もちろん、先生方への信頼、友達との絆が支えになってのことだとは思います。しかし、不安や寂しさもないわけではなかったと感じられたのは、帰ってきてからの真愛が、妙にくっついてくることでした。普段はさらっとしていて、行く前日も明るく「ママバイバイ~またね~」などと言っていて、真愛はいつもと変わらないのかと思っていたら、意外な変化でした。まだまだかわいいと思わされました。
(中略)帰ってきてからの変化は、なんでも自分でしようとすることでしょうか。親と離れて生活できたことが自信になったようで「自分でやる!」という言葉を何度も聞きました。この大きな体験で、きっと心も体もひとまわり大きくなったのだと思いました。バスから降りてきたとき、大きくて重いリュックがなんだか軽そうに見えたのもやり遂げた自信からだったのでしょうか。

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