2024年12月23日(月)

70点の育児入門

2017年3月28日

質問:生後5カ月を過ぎ離乳食を始めましたが、スプーンを口に近づけると嫌がってぜんぜん食べてくれません。栄養不足が心配ですが、無理に口をこじ開けてでも食べさせたほうがいいのでしょうか?

答え:無理をする必要はまったくありません。離乳の初期は栄養よりも食べることに慣れるのが大切。食べる楽しみを知ってもらえればそれが一番です。

答える人 石橋涼子先生(石橋こどもクリニック院長)

石橋涼子(いしばし・りょうこ)
東京大学医学部卒業。大学での研修の後、NICU、総合病院、障害児施設などに勤務。1996年からまつしま産婦人科小児科病院(現・まつしま病院)小児科部長、2005年1月に東京・江戸川区小岩に石橋こどもクリニックを開院。

 離乳食の開始期は、栄養のほとんどは母乳やミルクから摂っているので、離乳食を食べないからといってすぐに栄養不足になることはありません。この時期は、食べるということが楽しみになるように習慣づけることが最大の目標になります。無理強いをするとかえって嫌いになってしまいかねないので、全然食べなければ1~2週間ほど開けてみて再び挑戦してみるのも手ですね。量を気にする人も多いのですが、やはり量よりも慣れが大事です。一回の量が増えなくても、時期が来れば回数を増やして全然かまいません。

 母乳やミルクを吸うのと、流動食であれ何かを食べるときとでは、舌や顎の使い方がまったく違います。離乳食で口の機能の発達を促しつつ、発達に合わせてメニューも増やしていくことが大事で、とくに最初は好みが偏ったりもしますが気にすることはありません。好みもどんどん変わっていきます。

 育児書などには10倍粥から始めて徐々にかぼちゃ、ほうれん草、ニンジンなどとメニューが細かく書かれているものもありますが、これも厳密に守らなければいけないわけではありません。おかゆを食べない子には豆腐やかぼちゃをあげてもいいですし、パン粥を好む子も多いです。味覚も徐々に発達していきますので、しだいに食べるものの種類も増えてきます。

 既製品のベビーフードを食べさせることに抵抗を覚える方も多いのですが、最近は非常に栄養バランスを考えて作られています。もちろんご飯を手作りすることはすぐれたコミュニケーションになりえますが、ほんの少ししか食べないものに多大な時間と労力をかけてしまってスキンシップの時間がとれなくなってしまっては本末転倒です。豆腐を少しとりわけて大人と一緒に食べるなど、親も子も無理なく楽しむことが大事ですね。

  
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