2024年12月8日(日)

70点の育児入門

2017年3月23日

子育てはトラブルの連続。
「こうすればいい」「これが効く」情報が溢れすぎていて、何が正しいのかもわからない。
そんな悩みに答えるべく、この連載ではポイントをおさえた「70点のとり方」を専門家の方々に質問していきます。

質問:小学生の子どもの頬が片方だけ腫れたので小児科に行ったところ「おたふく風邪ですね」と診断され5日間の自宅隔離となりました。おたふく風邪だと両頬が腫れると聞いていたので、「反復性耳下腺炎」ではないかと思うのですが違うのでしょうか。
また、おたふく風邪だとすると潜伏期間があると聞きましたが、家族がほかの人にうつしてしまう可能性もあるのでしょうか?

石橋涼子(いしばし・りょうこ)
東京大学医学部卒業。大学での研修の後、NICU、総合病院、障害児施設などに勤務。1996年からまつしま産婦人科小児科病院(現・まつしま病院)小児科部長、2005年1月に東京・江戸川区小岩に石橋こどもクリニックを開院。

答え:ムンプス(おたふく風邪)でも片側しか腫れないこともあります。潜伏期間で発症直前だと人にうつす可能性もあるので、注意が必要です。

答える人 石橋涼子先生(石橋こどもクリニック院長)

 ムンプスの症状には個人差があり、片側だけ腫れることもしばしばです。一方、ムンプス以外の原因で耳下腺が腫れることもしばしばあり、最初のうちは見分けがつきにくいこともあります。血液検査でムンプスかどうか確認することも可能ですが、2~3日しても腫れが引かない場合はまずムンプスで間違いなく、通常は検査までする意味はあまりないでしょう。

 子どものムンプスは重症になることはあまりありませんが、合併症として無菌性髄膜炎や難聴があります。おとなは症状がひどくなりやすく、男性では睾丸炎を併発して稀に不妊症となることもあります。そのため兄弟が発症した場合は、予防接種を医師から推奨されるかもしれません。かなりの確率で発症を予防できますし、発症しても軽症で済みやすくなります。

 ムンプスを発症し腫れがひどくなると、固いものを噛んだり飲み込んだりするときにかなりの痛さを伴います。果汁など酸っぱいものも沁みるので、酸味のないゼリー状の食品などしかしばらく食べられなくなる子もいます。

 主な感染経路は、咳やくしゃみに含まれるウイルスを吸い込む飛沫感染と、ウイルスが付着した手で口や鼻に触れることによる接触感染です。予防には手洗い、マスクがある程度有効です。患者は家庭内でもできる限り隔離したほうがいいでしょう。

 潜伏期間中でも発症直前は人への感染が起こりやすくなります。とくに小さい子との接触はなるべく避けてください。ややこしいのは「不顕性感染」といって、症状が出ないまま感染しているケースもままあることです。家族に発症者がいる場合は注意が必要です。

  
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