2024年12月23日(月)

今月の旅指南

2011年3月3日

 旧正月の頃、行われる火祭りに左義長〔さぎちょう〕という行事がある。地方によっては「どんど焼き」「さいとやき」などと呼ばれ、正月の松飾りなどを焼いて一年の無病息災を祈る。 

信長は身分を隠すために、花笠を被り、女物の長襦袢を身に着けて踊ったといわれる

 近江八幡・日牟禮八幡宮〔ひむれはちまんぐう〕の左義長祭は元来、安土城下で行われていたもので、城主であった織田信長も“異粧華美”な姿で踊ったと伝えられる。信長亡き後、豊臣秀次が近江八幡に城を築き、安土から移住した人々を中心に町が開かれた。この時、すでにこの地で行われていた「八幡まつり」に参加を申し入れたが場所に余地がなく、それならと始めたのが安土城下時代の左義長祭だとか。

 祭りは2日間。初日の午後には十数基の“左義長”を担ぎ神社から町に繰り出し、「チョウヤレ、ヤレヤレ」という掛け声とともに変装した若者たちが町を練り歩く。

 ちなみに、“左義長”とは高さ約3メートルの三角錐の松明〔たいまつ〕の上に赤紙やくす玉、扇などを飾り、正面に干支にちなんだ「だし」を飾り付けたもの。町の人々の力作である“左義長”と、信長の踊りの姿に由来するとされる化粧した若者たちに注目が集まる。

 祭り2日目の夜には、神社境内で奉火が行われる。夜空を焦がす炎と、舞い散る火の粉は、見入ってしまうほど美しい。

日牟禮八幡宮 左義長祭
〈開催日〉2011年3月12~13日
〈会場〉滋賀県近江八幡市・日牟禮八幡宮(東海道本線近江八幡駅からバス)
〈問〉0748(32)3151
http://www5d.biglobe.ne.jp/~him8man/

◆ 「ひととき」2011年3月 号より

 

 

 

  

 
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