健康のためのデジタル技術 顔認証で身体が求める食事を
まずは、その人に合った食事です。医療診察の第一歩は、視診。動き、体格、栄養状態、皮膚の色などを見ます。ローソンの方は、顔認証の技術とビッグデーターを組み合わせ、その人に不足していそうな栄養を持つ食事を勧めるという考えです。
料理は、店内調理マシンが作ります。現在は、工場で作られたモノが並びますが、今後はどうでしょうか? サラダなどは、その場で、個別調整などもあるそうです。まぁ、医師以外、診断はできませんので、こちらはあくまでも食事サポートという立場です。
健康のためのデジタル技術 遠隔医療コーナー
地域によってはクリニック(診療所)がない町も出てくると思います。そんな時便利なのが、遠隔医療コーナーです。端的にいうと医師とのテレビ電話による診療です。脈拍他を計るバイタル測定器もあり、診断を助けます。
この2つは主に高齢者を想定していますが、これ以外に、働く女性を考えたデジタルサービスもあります。
従業員を活かすためのデジタル技術
コンビニの仕事は、接客もありますが、その多くは商品の入れ替え、掃除などに費やされます。よくありますね、商品が持ち込まれた時の直後は、レジに誰もいないなんてこと。買おうと思っているのに、別作業している店員をうながすことは、あまり気持ちのイイモノではありません。
今回は、全商品にRFIDが付けられていました。これは無線で情報がやりとりできる「個別タグ」のことです。ポイントは「無線」と「個別」ということです。どんなモノが、どこにあるのかが手に取るように、自動で分かります。棚卸しは、時間がかかる面倒な作業ですが、これがあるとすることが不要です。
また掃除もそうです。ロボット掃除機だと、愚痴も言わず隅々までキレイにします。
では、余った時間、どうするのかというと、より良い接客に当てようと言うわけです。接客の一番のプロはバーテンダーだと言われます。酒もそうですが、人を見ながら、そのお客さんが満足する時間を提供するからです。しかし、やはり心と時間に余裕がないとお座なりになります。
また、重いモノを短時間に運ぶなど、肉体労働を軽くすることができれば、高年齢の人でも務めることができます。人生経験が豊かな人だと、話しやすくもあると思います。
このように、デジタル技術を使いながら人をサポート。「人」が「地域と一緒にある」。それが、ローソン 竹増社長が考える、未来型のコンビニだそうです。
人を活かすために、デジタル技術を使う。よく、もともとAIが確立すると、この仕事がなくなるので、失業者が溢れるような記事もありすが、AI他、デジタル技術は、人を幸せにするためのもので、金儲けの手段としてだけに、作られているわけではありません。
ローソンは、「あなたと」変えてみたい
小売業は今、揺れています。Eコマース(電子商取引。ここではインターネット販売のこと。)か、リアルか、サバイバル戦です。以前、生鮮食料品はリアルだけでしたが、Amazonフレッシュなど、Eコマースは、ここにも手を伸ばしてきています。リアルはどんどん厳しくなっていきます。
小売の中では勢いのあるコンビニですが、やはり厳しいそうです。しかし、竹増氏の考えは違います。「あってよかった」から、「なければならない」です。
そして、「なければならない」コンビニと認めてもらうには、変わる社会にあった形に「変化」することです。そうでないと、生き残れません。
また、ローソンは、オープン・イノベーションを掲げており、他社との共創は望むところだそうです。ローソンはいろいろなサービスが行われる巨大な実験場になるかもしれません。
講演の最後のメッセージは『Be the Game Changers together with us.』(我々と共に、(よりよい状態へと)変えて見ようじゃないか!)。
どこにでもあるということを逆手にとった、このローソンの考え方、私は大いにありだと思います。
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