このほか交渉学などの講義は、外交やビジネス交渉に関心がある学生には大人気だ。私も地政学とエネルギーを学ぶ授業の聴講を希望して教授にお願いに行ったが、すでに大学院生でいっぱいになっており、丁重に断られた。ただ、先生が了解すれば聴講が可能な授業も多く、スペースがある限り、概ね好意的に受け止められるケースが多い。
それぞれの授業で毎週200ページ近い教科書の読み込みがあるため、自分の研究もあって授業はたくさんとれないが、エネルギー関連の授業を中心に、政治関連の授業を選択する方針だ。ハーバードは隣接する米マサチューセッツ工科大学(MIT)やタフツ大学と連携しているため、興味関心に応じて、これらの学校に足を運んで聴講する同僚もいるほか、ロースクールで専門的に法律の勉強をする学生もいる。
内向きの日本を表すハーバード
ハーバードの授業に出ていて気付くのはアジア系では韓国や中国の学生が実に多いことだ。比べて日本の学生は極めて少ない。行政学などを扱うケネディスクールでは数人の日本人学生を見かけたが、学部生になるともっと少ない。
広いキャンパスの中で私が把握しきれていないだけかもしれないが、アジア系の顔で日本人かなと思うと韓国語や中国語を話しており、彼らは授業でも積極的に発言している。英語に強いアクセントがある学生もいるが、かなり流暢に話す者も多く、言いたいことはしっかり伝わっている。経済的に勃興する中国や対外進出の活発な韓国と、現在の国際情勢や国情を完全に反映しているといえる。
ビジネススクールには日本人学生も2学年で10人ぐらいいるらしいが、キャンパスを歩いた際にはインドの学生に会うことが多かった。ケネディスクールでは中国系アメリカ人の学生が韓国からの留学生にハングルを習っている風景なども見かけた。かつて日本が経済的に隆盛し、日本人留学生が多かった時代では日本の学生が関心を集めた時期もあったのだろう。最近ではそうした情景は見られず、自分にもそうしたことがあまりないのは、少し残念な気もする。ただ機会があれば自分からも日本のことを積極的にアピールしていこうと思っている。