製造業よりもサービス業の進出を望む中国
これに連動して中国はいま、対中投資で大きな役割を果たしてきた国々に対して「製造業ではなくサービス産業の進出を」と呼びかけ始めた。雇用創出にも製造業以上の力を発揮するサービス産業が中国経済で大きな役割を果たすことができるようになるのか否かは中国の今後を占う上でも重要な視点だ。
だが、いずれせよ中国が貿易、投資依存から力強い個人消費を背景にした内需主導型に脱皮することは簡単ではない。貿易の見通しがネガティブないま、どうしても頼らざるを得ないのは投資、つまり公共事業だ。
しかし投資の原資となる地方財政は不動産価格に依存しているため、従来のようなペースを保つためには別の財源が必要になる。
そこで中国が考えるのがさまざまな名目で財政を厚くすることだ。すでに始まっている増値税(付加価値税)の適用範囲の拡大から中国在住の外国人からも社会保障費を徴収するといった動きこそこの象徴だ。
来るべき高齢化を見据えても中国が財源捻出のためにあの手この手を考えてくることは間違いない。そして取られる方の中国人の富裕層は、まとまった資金を持って海外へと逃げる、別の意味での夜逃げが広がるとも予測されるのだ。
来年以降、もしそうした流れが顕著になったとき、その受け皿になることのできた国こそが大きな発展のチャンスをつかむことになるだろう。
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