2024年4月22日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2012年12月18日

 米と世界は、サイバー兵器のより戦略的な使用に動きつつあり、今後、サイバー兵器競争もありうる。その被害は、今のところ真珠湾や9.11のように破壊的ではないが、それも今後変わりうる、と論じています。

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 この論説は、どのようなサイバー攻撃に対し自衛権行使が正当化されるのかについての問題提起をしたものですが、答えははっきり出されていません。

 戦争行為というのは、概念として明確さに欠けるので、サイバー攻撃の戦争行為該当性ではなく、自衛権発動につながる武力攻撃該当性を考える方がよく、武力攻撃該当性に対する抽象的な答えは、論説中に引用されている国務省の法律顧問の言う通りです。具体的な交戦規則は機密事項であるとか、経済的な損失が出ただけで武力攻撃とするのには無理があるといった指摘も、その通りでしょう。

 サイバーセキュリティ強化の具体策は、様々なケースを想定して、各々についてどういう対応をとるべきか、検討を重ねて試行錯誤して行く以外にありません。この点、日本では、自衛隊の対サイバー兵器研究が、短期間で時代遅れとなってしまったとして、無駄遣いだと非難されたように、試行錯誤に寛容でない風潮があることが懸念されます。

 サイバー攻撃の特異な点の一つは、攻撃元を特定することの困難さですが、この論説でも触れている、パネッタ長官の演説は、それを克服できる技術に迫りつつあることを示唆しています。そうであれば、重大なサイバー攻撃に対して通常兵器で報復することもありうべしとする、米国のドクトリンは、現実的なものとなり、この論説が提起している問題は、ますます重要さを増すことになります。

[特集] サイバー戦争

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