全体的なアプローチで合意しても、極めて重要な具体的問題で米国はどうすべきか、意見が違いうる。欧州の軍配置は要るのか。リビアでの米国の役割はどうあるべきか。シリアに介入すべきかどうか。これらは簡単な問題ではなく、政権は時折つまずいた。しかし、それは議会もそうで、強制予算削減を許し、政府閉鎖を引き起こし、債務不履行問題を起こした。これはホワイトハウスから出てくるどんなものより、米の国際主義を脅かした。
オバマの対外政策は選択的な関与政策で孤立主義から程遠い、と論じています。
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オバマの対外政策が内向きであるという批判に対して、オバマを弁護した論説です。
オバマは国際的対応において時折優柔不断であったり、自分の言葉を守らなかったり、決断の時を先延ばしする傾向があります。また、オバマケアのような国内での社会保障政策推進に熱心で、対外政策は優先度が低いきらいがあります。それに対して、今それが大問題になるレベルになっているとは言えず、諸制約の中でオバマは対外的にも関与し、まあまあよくやっている、というのが、オハンロンらの見方です。
ホワイトハウスより議会の方が米の対外政策を制約しているとの指摘はその通りです。政府閉鎖、デフォルトの危機を作り出すなど、共和党の一部のやり方は、度を越しています。予算の強制削減は実施されるでしょうが、それに伴う国防費削減は、時間が経つにつれてボディブローのように効いてくることになるでしょう。
米国の世界での役割については、世界の各国も強い関心を持っています。アジアへの軸足移動とその実行に我々は強い関心を持っていますが、中東の人は中東での米国のプレゼンスに強い関心を持っています。シリア不介入、米・イラン交渉、エジプトのシシ政権への援助削減を受け、サウジがイスラエルに、「オバマは同胞団を支持し、イランと不適切な合意をしかねない。いまやあたかも米が中東には存在しないように振舞う必要がある」と言ったという話もあります。
米国への信頼が低下するということは、世界の秩序を大きく揺さぶることに繋がります。オハンロンらは、「選択的関与をしている」と言ってオバマを弁護していますが、中東政策、アジア政策から明らかなように、腰が定まっていないことがオバマ外交の最大の問題点です。論説は、「内向き論」への反論にはなっているかもしれませんが、関与の仕方の悪さへの批判に対する答えにはなっていない、と言うべきでしょう。
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