2024年8月29日(木)

BBC News

2024年8月29日

アメリカで9月10日に予定されている、カマラ・ハリス副大統領とドナルド・トランプ前大統領の初のテレビ討論会をめぐり、両陣営が対立している。問題となっているのは「マイクの音」だ。

ABCニュースによる同日の討論会をめぐっては、民主党候補として出席を予定していたジョー・バイデン大統領がもともと、相手の発言時にはマイクの音を消すよう求めていた。2020年大統領選の討論会で、共和党のトランプ候補がバイデン氏の発言中にたびたび割って入ったのをふまえたものだった。

トランプ陣営は検討の末、これに同意。討論の相手がハリス氏に代わった現在も、このルールを適用するよう熱心に要求している。

その理由について一部のアナリストらは、今年6月にあったバイデン氏との討論会で、トランプ前大統領が大方の予想よりも控えめな態度を見せ、それが好意的に受け止められたからではないかとみている。

ただ、前大統領自身はこのルールにあまり関心がないようだ。「どっちでもいい。どちらかというと(マイクは)オンにしておいた方がいい」、「ただ、前回と同じにするというのが合意だった。つまり音を消すということだ」と26日に述べた。

ハリス陣営のもくろみは

一方、ハリス陣営は、ルールを変更して両候補のマイクをずっとオンにしたいと考えている。狙いは何なのか。

同陣営は一般論として、ハリス候補が話している間もマイクが音を拾うようすれば、トランプ前大統領のいらいらした反応が直に視聴者に伝わるだろうと考えているのだ。

ハリス候補の広報担当は、「トランプ陣営は自分たちの候補者が90分間、大統領らしく振る舞えるとは思っていない。だからマイクの音を消したがっている」と主張している。

民主党の戦略立案者で、政治アナリストのアミーシャ・クロス氏は、「(ハリス候補が)マイクの音を消すなと言っているのは、トランプが制御不能だからだ」とBBCに話した。

クロス氏は、討論会でトランプ候補がどんな発言をするかは、これまでの集会やトゥルース・ソーシャルへの投稿で、同候補が繰り返しているハリス候補への個人攻撃から予想がつくと説明。そうした攻撃は、特に女性や有色人種、若者の「有権者をうんざりさせる」ことになると述べた。

共和党関係者は批判

トランプ候補の相手をばかにするような態度が、当落のカギを握る浮動層を遠ざける可能性があると指摘する人もいる。

これは、討論会が開催されるペンシルヴェニア州のような、比較的少数の浮動層によって結果が左右される激戦州の選挙においては重要なことだ。

共和党の戦略立案者のフォード・オコネル氏は、ハリス陣営がマイクの消音をやめようとしているのは、討論を争点をめぐる議論から遠ざけ、ソーシャルメディアで拡散されるような瞬間を狙うためだとBBCに話した。

「向こうは争点で勝つ自信がないので、拡散される瞬間を作ろうと、できる限りの方法を探している」

(英語記事 Why Harris campaign is fighting for unmuted debate mics

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c62303gl76no


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