米ワシントン州とオレゴン州で28日、11月5日の大統領選挙などに向けて市内に設置されている期日前投票用の投票箱が燃え、投票済みの投票用紙が数百枚、焼失する事件が起きた。捜査当局は、この2件の火災は関連しているとみて調べている。
ワシントン州ヴァンクーヴァーでは、市内の投票箱の外に発火装置が装着されていたと地元メディアは伝えている。数百枚の票が焼かれたという。
オレゴン州ポートランドの当局によると、同市では投票箱の中に発火装置があり、3枚の投票用紙が破損したという。
ポートランド警察の報道官は同日、ヴァンクーヴァーとポートランドの事件は関連する様子だと記者会見で述べた。さらに、10月8日にもヴァンクーヴァー市内で別の投票箱を燃やそうとする未遂事件があり、手口が「非常に似ている」とも話した。
警察は、一連の事案に関係している疑いがあるとして、濃い色の乗用車の写真を公表した。
アメリカでは複数の州や市町村で、投票日当日に投票所で行列しないで済むよう、専用の投票箱が屋外に設置されている。
アメリカ国土安全保障省は今年9月、11月の選挙に向けて、屋外の投票箱の破壊や破損をソーシャルメディアで呼びかける人たちがいると警告していた。
ヴァンクーヴァーの投票箱からは前日27日に、投票用紙が回収されたばかりだった。現地当局は、それ以降に投票箱に票を投入した人は、地元の選挙管理委員会に連絡するよう呼び掛けている。
現地選管のグレッグ・キムジー委員長は、破損した投票箱は交換したと説明。当局は、放火で破損した用紙の投票内容をできるだけ特定しようと取り組んでいるという。
委員長はBBCに、現地警察が投票箱周辺の警戒を強化すると述べ、「こうした散発的な出来事が二度とないよう願っている」と話した。
ポートランドの当局は、破損した3票を投入した有権者に連絡をとり、投票用紙を再発行しようとしているという。
オレゴンとワシントンの両州は共に、大統領選では伝統的に民主党を支持してきた。ただし、ワシントン州第3区では連邦下院議員の選挙が激戦となっており、ヴァンクーヴァー市がその選挙区に含まれる。
激戦州アリゾナの州都フィーニックスでは24日、郵便ポストが放火され、投票用紙約20枚が破損した。米メディアによると、35歳男性が放火の罪で起訴されている。
被告は、政治的動機はなく、自分はホームレスなので軽犯罪を犯して刑務所に行きたかったのだと供述しているいという。
フィーニックスで燃やされたのは一般の郵便ポストだったのに対して、ポートランドとヴァンクーヴァーで燃やされたのは、期日前投票の専用の投票箱だった。
(英語記事 Ballot drop boxes set on fire in Oregon and Washington)