韓国軍合同参謀本部(JCS)は31日、北朝鮮が同日午前7時10分ごろ、日本海に向けて大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射したと発表した。飛しょう時間は過去最長の1時間26分で、飛しょう距離は1000キロメートルを超えたとされる。ミサイルは北海道の奥尻島の西方の、日本の排他的経済水域(EEZ)の外側に落下した。
今回の発射は、南北関係が悪化し、北朝鮮政府が韓国政府に対して攻撃的な論調を強める中で行われた。
北朝鮮はICBMを通常よりも角度をつけて高く打ち上げた。
韓国は前日30日に、11月5日の米大統領選に近い時期に北朝鮮がICBMを発射する準備を行っていると警告していた。
北朝鮮が最後にICBMを発射したのは昨年12月だった。アメリカ本土を射程範囲に収めるICBMの発射は、国連安全保障理事会の決議に違反する行為。
日本も今回の発射を注視している。防衛省はミサイルの最高高度が約7000キロを超えたと推定した。
発射当日に異例の報道
北朝鮮は通常、発射の翌日にその詳細や目的などを報じるが、国営メディアは今回、金正恩(キム・ジョンウン)総書記の発言を即座に伝えた。
発射当日の異例の報道によると、金総書記はICBM発射を「我々の敵に対応する意志」を示す「適切な軍事活動」だと述べた。
また、北朝鮮が「核戦力を強化する路線を変えることは絶対にない」とした。
北朝鮮の専門家たちは、ミサイルの弾頭部分の積載重量(ペイロード)を増やすことが今回の目的だとみている。
ソウルにある北韓大学院大学校の金東葉教授は、北朝鮮は「より大きく重量のある弾頭」や、複数の弾頭を搭載しても「米本土を攻撃できる」ミサイルの開発を進めているとした。
米韓の反応
ミサイル発射を受け、韓国とアメリカの当局者は会談し、「強力かつ多様な対策を講じる」ことで合意したと、韓国軍は声明で発表した。
また、「我が軍は北朝鮮の弾道ミサイルに関する情報をアメリカと日本の当局と緊密に共有し、即応体制を維持している」と付け加えた。
アメリカは今回の発射は「複数の国連安全保障理事会決議に対する重大な違反」だとした。
米国家安全保障会議(NSC)のショーン・サヴェット報道官は声明で、「(北朝鮮が)国民の幸福よりも不法な大量破壊兵器と弾道ミサイル計画を優先し続けていることを実証するだけだ」だと述べた。
ミサイルの発射に先立ち、韓国とアメリカは、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が進めるウクライナ戦争を支援するために、北朝鮮がロシアに北朝鮮部隊を派遣していると非難していた。
米国防総省はロシア東部での訓練に約1万人の北朝鮮兵が派遣されたと推定している。
アメリカは29日、「少数の」北朝鮮兵がクルスク州に派遣されたと発表した。さらに数千人規模の部隊が同州へ向かっているという。
ロシアに北朝鮮部隊が駐留しているとみられる事態を受け、プーチン氏と金氏の関係の深まりに懸念が高まっている。
北朝鮮とロシアの両政府はこれらの主張について肯定も否定もしていない。